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もはや世界の常識!?アメリカにおけるプログラミング教育の取り組みまとめ

2016年4月、文部科学省が2020年から開始される新たな学習指導要領について発表しました。小学校教育課程へのプログラミング教育の導入です。 今後のインターネットビジネス産業の成長によって技術者不足が見込まれるなか、プログラミングスキルは日本でも読み書き計算のように必要不可欠なものとして捉えられつつあります。しかし、まだその動きは世界的には遅れていると言われていま…
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2016年4月、文部科学省が2020年から開始される新たな学習指導要領について発表しました。小学校教育課程へのプログラミング教育の導入です。

今後のインターネットビジネス産業の成長によって技術者不足が見込まれるなか、プログラミングスキルは日本でも読み書き計算のように必要不可欠なものとして捉えられつつあります。しかし、まだその動きは世界的には遅れていると言われています。そこで、この記事ではプログラミング教育先進国であるアメリカの取り組みをまとめて見たいと思います。

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オバマ大統領も取り上げた「STEM教育」

STEMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字を取ったものです。オバマ政権では就任1期目から科学教育推進に力を入れており、ビジネス分野での競争力を維持するためにSTEM教育が必須であるということを明言していました。

ニューヨークをはじめとして、市や州レベルで中学・高校にコンピューターサイエンスを導入するところも出てきましたし、コーネル大学やコロンビア大学などの有名私立大学でもITエンジニア系の人材育成に力を入れる動きが出ています。

NPO団体「Code.org」の影響

しかし、最も注目すべきなのは、2013年に設立されたNPO団体「Code.org」の存在です。
「Code.org」は、4歳から18歳の子どもに向けたプログラミング教材をホームページに公開しており、誰でも無料で一からプログラミングを学べるようにしています。

また、プログラミングを教えるべき教員へのツールも公開しており、プログラミング教育の導入サポートを手広く手掛けています。また、1時間のプログラミング教育を促進するための「Hour of Code」というイベントを2013年から毎年実施しています。

2014年のイベントでは、オバマ大統領自らがYouTubeにプログラミング教育の重要性を訴える動画を公開したことで、体験者が6,000万人を超えたとされています。MicrosoftやFacebook、Appleなどといった大手IT企業も協賛するなど、政治・産業界の支持も得て、世界的なイベントに成長しています。

社会人向けプログラミング教育の成長

子どもだけではなく、大人を対象としたプログラミング教育もアメリカでは増加しています。「プログラミングブートキャンプ」と呼ばれる初心者向けの短期(3ヶ月ほど)集中講座です。2015年の時点で、アメリカおよびカナダでは67のスクールが存在し、調査に回答した63のスクールから16,056人の卒業生が出たとされています。

その背景にあるのは、プログラミング技術の変化の速さです。初心者でも最新のノウハウを学ぶことで、知識の古いままの経験者よりも即戦力になりやすいのです。また、大学でコンピューターサイエンスを教える教授たちですら、最新技術にキャッチアップしきれていないことも多いといいます。

こうしたプログラミングブートキャンプの平均コストは、11,063ドル(約120万円)と決して安いものではありませんが、プログラマーの人材不足もあって見返りは高い確率で保障されます。卒業生の3カ月以内の就職率は99%、初年度平均年収は10万5,000ドル(約1,200万円)と、転職前に比べて所得が平均5万2,000ドル(約570万円)も上昇したとされています。

まとめ

アメリカでは、人材不足と競争力低下への危機感から、政府のみならず産業・NPOが一体となってプログラミング教育を推進しています。日本ではプログラミング教育も公教育が担うことが前提となっている感がありますが、Code.orgに影響を受ける形で一部企業などがプログラミング教育を進める萌芽が見えつつある、といった段階です。

子どもから大人まで、学年や年齢にとらわれずプログラミングを学ぶ機会がある世界を作り上げようとしています。