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『ルビィのぼうけん』をめぐるぼうけん 第1回Hello, Future!

◆世界を端的に変えられるのは、デベロッパーとデザイナーと政治家だけ 私はずっと、「世界を端的に変えられるのは、デベロッパーとデザイナーと政治家だけ」だと考えています(最近、政治家は怪しいかもしれませんが……)。 そう考えるのは、自分が翔泳社というコンピュータ書の出版から始まった出版社に勤務していることに関係します。仕事柄、デベロッパーの人たちが作ったサービ…
岩切 晃子

岩切 晃子

2016.11.10
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◆世界を端的に変えられるのは、デベロッパーとデザイナーと政治家だけ

私はずっと、「世界を端的に変えられるのは、デベロッパーとデザイナーと政治家だけ」だと考えています(最近、政治家は怪しいかもしれませんが……)。

そう考えるのは、自分が翔泳社というコンピュータ書の出版から始まった出版社に勤務していることに関係します。仕事柄、デベロッパーの人たちが作ったサービスやシステムが世の中を変える瞬間、人々の生活や気分や働き方を変える瞬間をたくさん見てきたのです。

翔泳社ではそんなデベロッパーの人たちがクリエイティブにワクワクして働き、世の中をますますよくするサービスを生み出してもらうために、Developers Summit(通称デブサミ)を2003年から開催してきました。たくさんの方のお力を借り、おかげさまで日本最大級のエンジニア・デベロッパーイベントに成長させることができたのではと嬉しく思っています。今では東京・神戸・福岡で、毎年延べ5000人以上の方にエントリーいただくエンジニア・デベロッパーのお祭りになりました


◆自分がこの業界で果たすべき責任とは

デブサミを立ち上げるときは、「こんな感じに世の中がなったらいい」「そのためにこういうことをしたらいい」というイメージがありました。しかし、とあることがきっかけで、自分がこの業界で果たすべき責任について改めて考えるようになったのです。

それは2016年春に刊行した『ルビィのぼうけん』です。本書をきっかけに、これまで「大人」向けに活動していた自分が、ある日突然「子ども」プログラミング業界に身を置くことになりました。しかし、そこで自分に何ができるのか、何をすべきかはすぐにわかりませんでした。

それでも、本書が注目を浴びたこと、さらに2020年から小学校でプログラミング教育が必修化が決定されたタイミングが重なり、様々なメディアや関連団体からの問い合わせが増えていきました。仕事をしながらも、「最終的にどんな状態を目指して、私はこの業界にいればいいのだろうか?」と、自問自答する毎日が続きました。

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◆リンダのような人たちがたくさんいる世の中になれば

私には、どんな業界にいるとしてもその業界に属すなりの責任を果たし貢献しなければならない、という思いがあります。だからこそ、『ルビィのぼうけん』は私にとって新しい業界に対する責任と貢献を考える機会になったのです。

プログラミングのワークショップに参加している子どもたちは、本当に楽しそうにしています。そんな姿を見れば見るほど、自分にできる貢献は何かと強く思うようになっていきました。もちろん、プログラミング教育の必修化にあたって、国は「こういう子どもを育てたい」という強い思いがあるでしょう。それは指導要領に見て取れます。

私も、どういう学校になっているといいか、どんな授業になっているといいか、自分の会社がその中でどんな役割を担っているといいか、いろいろ考えてみたのですが、どれもしっくりしませんでした。しかし、自分が子どもを産み育てているとしたら、どんな子どもになってほしいと思うのだろうか、と考えてみると、あるイメージが浮かんできました。自分がいつも一緒にいると楽しい人たちの顔です。

私の大好きな人たちは、どんなときでもどんな状況でも、その場から学び、やると決めたら自分のできることをやり、協働しながら話を一歩先に進めます。そして、その場を面白くする能力、発火させる能力が高く、誰に対しても平等に接しようとし、自分を大きく見せようとはしない人たちです。

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2016.7.29 Developers Summit 2016 in Summer
「社会をハックするために必要なこと」パネルディスカッション



『ルビィのぼうけん』の著者、リンダがそうです。
デブサミで出会った人たち、Hack For Japanで出会った人たちがそうです。
翔泳社にも、私の同級生にも、いろんなところに、そういう人たちがいます。

彼らに共通するのは、善玉ハッカーだということ。将来、そんな人たちがデベロッパーやプログラマという職種に限らずもっとたくさん世の中にいることを想像したら、とても楽しくなりました。


◆未来そのものである子どもたちのためにできること

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子どもと接していて感じるのは、彼らは「未来」なのだということ。ご飯を一緒に食べるとき、犬の散歩に一緒に行くとき、本を一緒に読むとき、子どもの顔を眺めるときなど、折に触れて「子どもは未来なのだ」と、本当にそう感じます。

プログラミングのワークショップなどで一時的に触れ合った子どもたちがどういう人生を歩んでいくのか、私には知る由もありません。でも、「リンダのような大人になってくれたらいいな」という思いがあります。私はその思いをもって、この業界でお役に立てることを探して行動していきたいなと考えています。

今までは、税金を払うことでしか子どもの未来に関与することができないと思っていました。ですが、子どもプログラミング業界での貢献を通じて、もっと積極的に貢献できるかもしれないと想像すると、なんだってしたいなと思う今日この頃です。

『ルビィのぼうけん』を刊行したことで見えてきた世界を、こんな感じでお届けできたらと思い、この連載をお引き受けいたしました。フィードバックお待ちしています!



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ルビィのぼうけん
こんにちは!プログラミング

リンダ・リウカス 著 鳥井雪 訳
2016/05/19刊行
ISBN:9784798143491
価格:本体1,800円+税
株式会社翔泳社