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テクノロジーは課題を解決するためのツール! 2016 Imagine Cup現地取材レポート

2016年7月27日〜29日(米現地時間)の3日間、米シアトルのマイクロソフト本社にて、世界最大の学生向けITコンテスト「2016 Imagine Cup World Finals」が開催された。 同イベントは、国際競争力のあるIT人材育成を目指して米マイクロソフト本社が開催する年次コンテスト。 世界中から自国の国内予選を勝ち抜いた学生たちがシアトルに集結し、ワールドチャンピオンをかけて熱い闘い…
神谷 加代

神谷 加代

2016.09.15
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2016年7月27日〜29日(米現地時間)の3日間、米シアトルのマイクロソフト本社にて、世界最大の学生向けITコンテスト「2016 Imagine Cup World Finals」が開催された。

同イベントは、国際競争力のあるIT人材育成を目指して米マイクロソフト本社が開催する年次コンテスト。
世界中から自国の国内予選を勝ち抜いた学生たちがシアトルに集結し、ワールドチャンピオンをかけて熱い闘いを繰り広げる。

世界最大の学生ITコンテストとは、どのようなものか。現地で取材した様子をお届けする。



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「2016 Imagine Cup World Finals」の大会1日目、プレゼンテーションが開催された米マイクロソフト本社


のべ165万人以上が参加、世界最大の学生向けITコンテスト

Imagine Cupとは、2003年にマイクロソフト創始者ビル・ゲイツの発案によって始まった学生向けITコンテスト。



テクノロジーを使って社会の課題解決に役立つソリューションや新たな価値を提供するプロダクトを創造することで、国際競争力のあるIT人材の育成を目指している。

この10年間に参加した学生は約190カ国のべ165万人以上を突破。まさに世界最大の学生向けITコンテストといえる。

今年で14回目を迎えたImagine Cupには、世界35ヶ国から自国の国内予選を勝ち抜いた学生チームがシアトルに集結した。

日本からは筑波大学Biomachine Industrialチームの学生らが出場し、ワールドチャンピオンを目指して闘いを繰り広げた。



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日本代表で出場した筑波大学Biomachine Industrialチームのプレゼンの様子



Imagine Cupは、ゲームコンテンツを対象にした「ゲーム部門」、病気や災害などの社会課題をITで解決する「ワールドシチズンシップ部門」、テクノロジーの新たな使い方を提案する「イノベーション部門」の3つに分かれる。

日本から出場した筑波大学のチームはイノベーション部門に出場。各部門で1位に選ばれた計3チームが最終決勝戦に進み、その中からワールドチャンピオンが決まる仕組みだ。


求められるものは、“テクノロジーが社会に与えるインパクト”

Imagine Cupは、学生向けITコンテストといってもプログラミングの技術やアイデアの斬新性を競い合うのではない。

学生たちは、自分たちが考えたソリューションやプロダクトが社会にどのようなインパクトを与えるのか、作り手の思いとともに“伝える”ことが求められる。

プレゼンテーションのスキルはもちろん、専門的な知識を持つ審査員の心に響かせるためには、新しいソリューションやプロダクトが実社会で広く普及するためのビジネスプランや実証実験データ、市場のニーズなど説得材料も必要だ。

しかも当然ではあるが、プレゼンテーションは全て英語で行われる。参加国の学生は、そのほとんどが英語は第2外国語になるため、英語での表現力も勝敗を分けるポイントになる。



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筑波大学が発表したウェアラブルデバイス「Bionic Scope」



日本代表として出場した筑波大学は、人間の視覚機能を拡張できるウェアラブルデバイス「Bionic Scope」を発表した。

同プロダクトは、コンサート会場やスポーツ観戦など遠くのものを見る時に、見たいポイントを瞬時に拡大して鮮明に見ることができるデバイスだ。

光学30倍ズームが可能で、奥歯を噛みしめればズームイン、意図的に大きなまばたきをすればズームアウトする。双眼鏡のように手でレンズを合わせる必要なく、直感的に操作できるのが特徴だ。

仕組みとしては、脳から神経を通じて目の周りの筋肉へ送られる電位信号を特別なセンサで皮膚の上から読み取り、カメラを制御している。生体電位信号を用いた視覚拡張デバイスのインターフェイスは、すでに特許も出願中だという。



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Imagine Cup世界大会に出場したBiomachine Industrialチームの4名。左から村田耕一さん、上原皓さん、江國翔太さん、朝倉靖成さん



Imagine Cup世界大会の結果、日本代表として挑んだ筑波大学のチームは残念ながら入賞することはできなかった。

最終決勝で優勝を手にしたのは、医療用のウェアラブルデバイス「ENTy」を発表したルーマニアだった。同チームは、患者の姿勢をリアルタイムにデータ化できるセンサ付きベルトと専用のアプリを開発し、目眩などバランス感覚が影響する病気の診断に役立つソリューションを発表した。

ルーマニアの学生たちは豊富な実証研究のデータを提示しながら、ENTyは従来の治療方法を一歩前進することができると説得力あるプレゼンを披露した。



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ワールドチャンピオンに輝いたルーマニア


Imagine Cupに参加した学生とは?

“マイクロソフト本社が主催する世界最大の学生向けITコンテスト”といえば、プログラミングスキルの高い学生が集まり、素人には分からないような専門的な技術を競い合うイメージを持ってしまいがちだ。

しかし、前述の通り、Imagine Cupは、学生たちが開発したものについて、単なるアイデアの具現化に終わらず、“テクノロジーが社会に与えるインパクトとは何か”の問いかけを大切にしている。

ゆえに、Imagine Cupに参加している学生もプログラミングスキルの高い学生ばかりではない。
筆者は、他国の学生にプログラミング歴を聞いてみたが、「プログラミングを始めたのは大学生になってから」「プログラミングを始めて1年くらい」という返答も多かった。

一方で、チーム内には、デザインやディレクションを担当する学生、ビジネスソリューションやプロダクトの実証研究を担当する学生など、さまざまな能力を持つ学生同士が集まってひとつのチームを組んでいた。チームワークやコラボレーション能力など、ひとつのソリューションを生み出す際に欠かせないスキルが学生には必要だといえる。

また多くの学生はプログラミングを学ぶ必要性について「テクノロジーは課題を解決するためのツールであり、学ぶことは重要である」と話していたことも印象的だ。



これだけ広くITが普及した世の中だからこそ、新しい課題解決の手段としてITをもっと生かしていくべきだと学生たちは主張していた。そのためには、
「自分が解決したいものは何か」
「何を良くしたいと思っているのか」

そんな内面的な問いかけが重要だといえる。

プログラミングを学ぶ子供たちにも、そうした精神を大切にしてほしいと願う。



執筆者:神谷 加代