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2019.1.7
2019.1.7

Tangible Play『Osmo Coding Jam』

ご家庭で、親子が楽しくプログラミングを学べるスマートトイを研究するこのコーナー。
2019年の最初にご紹介するのは、アメリカ発のプログラミング学習トイ『Osmo Coding Jam』です!

名前から推測できるように、このスマートトイは、“プログラミング”と“ジャムセッション”がテーマ。つまり、プログラミングで音楽を作ることができるのです。


リアルのブロックを並べ、画面で音楽を作る

Codong Jamは、リアルのブロックと、iPhone/iPadのアプリを使って遊ぶプログラミングトイです。また、Amazonが販売するタブレット『Fire』にも対応しています。
リアルの命令ブロックを組み合わせると、アプリの中のキャラクターが命令通りに動いて演奏をします。ブロックの並べ方によって奏でる音の順番が変わり、即興で様々な音楽を作り出すことができます。

『Osmo Coding Jam』
●発売 Tangible Play
●参考価格 59ドル ※直販価格、別途送料等

【パッケージの内容物】
・コーディングブロック 23枚
・収納ケース
・ステッカー
・ポスター

【準備するもの】
・Osmoスタンド兼ベース、リフレクターのセット(直販価格19ドル~)
・iPhone/iPad/Fireのいずれか ※12.9インチのiPad Proは未対応
・専用アプリ『Coding Jam』(iPhone/iPad用) ※AppStoreからダウンロード

無料の専用アプリ『Coding Jam』。

Coding Jamでは、演奏するキャラクターによって出す音色が異なります。ゲームを進めていくと、使えるキャラクターがどんどん増えていきます。
キャラクターは1人だけでなく、最大3人同時に演奏させることができるので、キャラクターの組み合わせ、ブロックの並べ方によって、完成した音楽が変わります。

音楽を自由に作曲できるCoding Jamの秘密

Coding Jamで、リアルのブロックとアプリを連携させる仕掛けは、iPadの上に装着されている赤いパーツにあります。この中に鏡が入っており、iPadの前に置かれたブロックを鏡経由でインカメラに写し、ブロックの情報を読み取っているというわけです。そのため認識も迅速で、まるで画面の中でブロックを動かしているかのような快適なレスポンスで楽しむことが可能です。

iPadを専用スタンドに差し込み、リフレクターをiPadのインカメラ部分に取り付けます。

目の前にブロックを並べると、そのブロックの順番通りに、アプリへ反映されます。

……と説明しても、画像だけではイメージが湧きにくいと思いますので、ぜひこちらの動画もご覧ください!

いかがでしょうか。リアルのブロックにあわせて、アプリ上でもリアルタイムにブロックの情報が変化していきます。そして、初めてCoding Jamに触った子どもでも、即興で世界にひとつだけの音楽を作り上げることができるのです。
こんな素敵なメロディを自分で簡単に作れるので、子どもの反応がすこぶるよく、「次はどんな音楽を作ろうかな」、「このキャラクターはどんな音を出すのかな」と夢中になって遊びます。

音楽を作りながらプログラミングを楽しく学べる

「でも、どこがプログラミングなの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
今度は、手元で操っているブロックに注目してください。

Coding Jamで使用するブロック。マグネット内蔵で、ピタッとくっつきます。

Coding Jamのブロックは全部で12種類あり、それぞれがキャラクターに命令させる“コード”となっています。
たとえば、手のマークのブロックなら手を使って演奏、歩くマークなら足で演奏します。上下左右に動かせる矢印と組み合わせることによって、キャラクターの周囲にある楽器を鳴らし、音を出します。また、数字のブロックは数字の回数だけ演奏し、ループのブロックはそのあとのブロックを指定回数だけ繰り返し演奏します。

キャラクターの演奏画面。一人のキャラクターにつき12種類の音を鳴らすことができます。

さらに、キャラクターはそれぞれ「ドラム」「ベース」「メロディ」のいずれかの種類に分かれています。ドラムのキャラならドラム系の音、メロディのキャラはハープやエレキギターといった異なる種類の音を持っているので、キャラクターの組み合わせによって、実にたくさんの音楽を作り出すことができるのです。

3人のキャラクターを同時に演奏できるセッションで、1つの曲を作り上げていきます。

このキャラクターを組み合わせたセッションこそが、Coding Jamの醍醐味。3つの異なる音が合わさることにより、深い音楽になったり、おもしろい音楽になったりします。結構めちゃくちゃに作っても、どれもそれなりに曲としてまとまるのも面白いところです。

「どのようにブロックを組み合わせるか」という思考、繰り返しの考え方、これらはすべてプログラミング的思考の基礎です。プログラミング学習アプリやツールでは、ロボットや画面の中のキャラクターを動かすというものが多いですが、Coding Jamでは音楽という要素を絡め、楽しく曲を作りながら自然に学んでいくことができます。

作品づくりで達成感も楽しく学べる

そして、作品が即座に完成するため達成感も高く、非常に直感的でわかりやすいものになっています。また、作った音楽は専用サイトにシェアすることができ、Osmoのユーザー同士で作品の感想を送り合うことができます。

作品をシェアすると、他のプレイヤーから評価が届きます。また、アプリにある「JamTV」では他のプレイヤーが作った曲を聴くこともできます。

他のプレイヤーから寄せられた評価のメッセージを見て子どもは大興奮。さらに、評価されるとハートがたまり、次のステージへ進むことができるのです。
このあたりの流れは実に自然で、「うまい作りだなぁ」と感心してしまうほど。子どもは楽しんでブロックを並べ音楽を作る、できた作品をシェアする、みんなから評価をもらう、うれしくなって作品作りに励む……という、非常に素敵なスパイラルが自然に作り出されているのです。

Coding Jamに関しては、親の手はほとんど必要ありません。最初にリアルのブロックと画面とのリンクにとまどった場合は、ちょっと手助けをしてあげるとよいですが、一度コツを覚えたらあとはもう子どもの独断場。好きなだけ音楽を作り出させてあげるとよいでしょう。

子どもが作った曲は、アプリだけでなくブラウザー上からも視聴可。さらに、mp3などの音楽データとして保存することもできます。

また、Osmoユーザー向けサービス『My Osmo』に保護者が登録すると、子どものプレイ時間などを確認できるほか、Coding Jamで作った曲がメールで届きます。曲自体はごく短いものが多いので、メールが届いたらぜひ動画を見て、子どもの作品をほめてあげてください!

海外で高い評価を受けるOsmoシリーズ

Coding Jamを制作したのは、アメリカのTangible Play。これまでにも、『Osmo』シリーズとして、リアルのブロックやパーツとアプリを連携させたスマートトイを多数作っており、海外では多くの賞を受賞しています。さらに、学校のプログラム教育のツールとしても採用される実績を持っています。

Codingシリーズ以外にも、図形を組み合わせる『Tangram』、ピザ屋を経営する『Pizza Co.』など、楽しいゲームがそろっています。

ただ注意したいのが、遊ぶには専用のスタンドとリフレクターのセットが必要なため、ゲームだけを購入しても使えません。スタンドとリフレクターのセットはiPad用とiPhone用があるので、使いたいデバイスに合わせて購入してください

Osmoシリーズに共通で使える、スタンドとリフレクターのセット。

なお、このセットが1つあれば、Osmoシリーズの他のゲームも楽しむことができますので、Coding Jamで楽しんだら、他のゲームにも挑戦してみることをおすすめします。一押しは、プログラミングをテーマにした『Coding Awbie』です。

『Coding Awbie』。Coding Jamとのお得なセットも用意されています。

私が初めてOsmoに出会ったのも、この『Coding Awbie』でした。リアルとバーチャルとの融合というアイデア、そしてブロックパーツのデザインのかわいらしさに惹かれ即購入。親子で夢中になって遊びました。その楽しさと高いデザイン性は、Coding jamにも受け継がれています。とにかく、ブロックがかわいい! 専用のスタンドも普段使いができ、そのままリビングに飾っていても違和感がありません。

また、Coding jamはブロックだけでなくアプリも、数字以外の文字が一切使われていないので、幼児からでも取り組むことが可能です。Coding Jamのブロックも使えますので、興味があればぜひチェックしてみてください。


ブロックを並べて、食いしん坊のAwbieをゴールに導いていきます。頭を使いながら、手でブロックをどんどん並び替えていくので、知育玩具としてもとても優れています。

日本ではAppleストアでもOsmo製品が販売されていますので、店頭でチェックしてみるのおすすめです。

Coding Jamは、手を動かして考え、遊びながら学び、そして自分だけの音楽を作り出し、子どものもつ自由な発想、創造力を存分に引き出すことができる優れたスマートトイです。アプリはローカライズされて日本語になっていますので、海外製品だと臆さずに、ぜひ挑戦してほしいと思います。

Tangible Play『Osmo Coding Jam』
親子で遊べる ★★★★
一人でも遊べる ★★★★★
わかりやすさ ★★★★★
価格と導入コスト ★★★★

相川いずみ