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2017.6.2
2017.6.2

こどもが出場できる日本のプログラミング大会

近年、子どもたちの間でプログラミングを学ぶことがブームになっています。ブームというよりも、定番になっているといったほうがいいかもしれません。そのように盛り上がりを見せている日本におけるプログラミング学習ですが、なにか目標があった方が子どもたちの学習意欲もよりアップするのではないでしょうか。

たとえば、プログラミングの成果を発表できる場があれば子どもたちもやる気が出ますし、親としても子どものプログラミングの実力がどの程度上がっているのかを確認できます。そこで今回は、子どもたちが自由に参加でき、日頃から学んでいるプログラミングの成果を発表することのできる日本のプログラミング大会についてご紹介していきます。

子どものやる気を起こすのに最適!プログラミング大会とは?

プログラムの勉強は慣れてくれば楽しいものです。しかしはじめのうちは、なにから行えばいいのか迷ってしまうかもしれません。また、目的がなければ熱も入らずに挫折してしまうおそれもあります。そんなときに役に立つのが、プログラミング大会です。プログラミング大会への参加を目標にすれば、子どもたちのやる気も起きますしどういった学習をすればいいかの方向付けもできるでしょう。目標にする大会にそったプログラミングの学習をすればいいからです。
大会によって使用する言語や学習すべき内容が決まる場合も多いので、プログラミング学習についてなにから行えばいいのかという迷いもなくなります。プログラミング大会の内容としては、全参加者に同じ課題を与えてそれをプログラミングによって解決するといったもの、あるいはアイデアの独創性を競うもの、またスポーツのようにプログラミングしたロボットに競技をさせて成績を競うものなどがあります。
プログラミング大会に参加することは目標を定めて学習意欲を上げるだけでなく、同じくプログラミングを学ぶほかの仲間たちと出会えるというメリットも考えられます。優秀なライバルたちと競い合えば、よりいっそうプログラミングの技術が向上することでしょう。それでは次に、具体的にどんなプログラミング大会があるかをご紹介していきましょう。

最も熱い、全国小中学生プログラミング大会

全国小中学生プログラミング大会実行委員会が主催する、全国規模のプログラミング大会です。その年の募集テーマにそってプログラミングを行います。PCやスマートフォン、タブレットなどで動作するプログラムを作成して、技術やアイデア、完成度を競うのです。開発言語やツールは問われません。

応募資格は、日本在住の6歳以上15歳以下の小学生、中学生で、グループ参加は3名以下です。応募数はひとり何作品でも可となっています。応募までのプログラミングなどでかかった費用は自己負担ですが、大会に応募すること自体は無料です。2016年は8月20日に応募開始、9月15日に応募締め切りでした。応募期間が1カ月弱なので注意しましょう。ノートパソコンなど豪華な賞品も用意されており、人気の高いプログラミング大会となっています。

第一回大会では、ロボットを制御するプログラムがグランプリを受賞しました。ほかにも、なにかしら機械(物理的仕組み)をプログラムで制御する作品が多く入賞しているようです。本大会は、開発言語やツールは問わない、プログラムを動作させる環境もPCやスマートフォン、タブレットなどさまざまという、間口の広い大会となっています。自由度が高いだけに、オリジナリティあふれるアイデアと、高いプログラミング技術が要求される大会であるといえるでしょう。

スマホアプリを競う、アプリ甲子園

アプリ甲子園は参加者を中高生に限定した、スマートフォン用アプリの開発コンテストです。1,000以上もの応募作品がある日本最大級の大会となっています。iPhoneやAndroid対応のスマートフォンおよびタブレット用のアプリを作成し、企画力、実装力を競います。2016年は、7月1日から8月31日まで応募を受け付けていました。

一次審査で30作品、二次審査で10作品にしぼり、選考を実施。10組による決勝においては、プレゼンテーションも行われました。全国小中学生プログラミング大会と同様、賞品は豪華で優勝者にはパソコンかノートPC、準優勝者にもタブレットを商品として贈呈されました。選考対象のアプリ詳細は、iOS用アプリ、またはAndroid OS用アプリ、Windowsphone用アプリです。作品のテーマは決まっていません。

評価項目の詳細は、独創性、デザイン性、消費者支持度、操作性、技術力、完成度となっています。開発プラットフォームがスマホやタブレットなどに限定されるので、ある程度プログラミング学習の方向を絞り込むことができるのではないでしょうか。しかしテーマが自由であるため、自分で決めたテーマの方向性が入賞を左右するかもしれないという難しさもある大会です。

BASICを主に使用するPCNこどもプロコン

2014年から夏、冬の季節に分けて行われている子ども向けプログラミング大会です。小学生の低学年から中学3年生まで、幅広い子どもたちが参加しています。2017年は最優秀賞も含め27の作品が入賞しました。PCNとはプログラミングクラブネットワークの略で、プログラミング教育を通じてプログラムへの理解度や認識力を高めることが目的のグループです。主にBASIC専用のIchigoJamというパソコンを使って、プログラミングの学習をします。大会での使用言語はBASICにかぎらず、テーマやツールなども限定されていません。ただし、入賞作品の多くはBASICで作成されているようです。プラットフォームもIchigoJamの場合が多いようでした。しかし、なかにはJavaScriptやScratch、Minecraftなどを使用している作品もあります。入賞数も多い大会なので、子どもたちにやる気を出させるにはベストな大会ではないでしょうか。

国際的なGo Global! DojoCon Japan プログラミングコンテスト

DojoCon Japan プログラミングコンテストとは、アイルランドで開催されるCoderDojo Coolest Projectへの参加が副賞という、国際的な色合いの強いプログラミング大会です。Coolest Projectsとは、アイルランドで開催されているCoderDojoで作ったプログラムなどのコンテストのことです。

CoderDojoは、無料のプログラミング教室で、7歳から17歳の子どもに、Scratchを使ったゲームの作成やHTMLなどを使ったWEB制作などを教えています。場所によっては、RubyやPHP、Pythonといった実践的な言語を学ぶことも可能です。大会の対象作品は、ScratchやWEBアプリ、ゲーム、サービス、iPhoneアプリ、Androidアプリなど、プログラミング言語によって作成された作品となります。応募条件は満7歳から17歳までで、授賞式に参加できること、親権者の同意を得ていることなどです。大会へは個人での参加となります。2016年度の応募は、7月29日から8月21日までの間で行われました。最優秀賞に選ばれるとプレゼンテーションの実施も必要となります。コンテストへの参加費は無料、パソコンなどプログラミングに使う実機は自己負担で、会場での使用時にも持参することになります。

作品の評価は、アイデアや内容によって行われます。最優秀賞はアイルランドに招待ということで、子どもたちに国際的視野を持たせるにはうってつけの大会といえるでしょう。2017年以降の大会開催は未定ですが、CoderDojo自体が無料のプログラミング教室を開いているので、そちらに参加しながら次の機会を待つという方法も考えられます。

子どもたちがロボットで競い合うWRO Japan国内大会

WROとはWorld Robot Olympiadの略です。自律型ロボットを使用する国際的な大会となります。WRO Japan国内大会は、日本国内で開催されるWROの大会です。子どもたちはロボットを作成し、プログラムによってそのロボットを制御する技術を競います。ロボットは市販のものを使用するので、製作するのも比較的容易です。ロボット競技へチャレンジすることで、子どもたちの創造性と問題解決能力を向上させることを目指す大会となっています。WROにおいては、チームワークも大切な要素となってきます。子どもたちがチームを作りロボットを組み立て、プログラムを開発して競技に参加することになるのです。

本大会にはいくつかのカテゴリーがあり参加資格はまちまちですが、小学生部門では12歳以下の小学生、中学生部門であれば13歳以上から15歳以下の中学生が対象となります。レギュラーやオープンカテゴリーでは、ほかに高校生も加わりチームを作ることになるのです。また、大人のコーチも1名加わります。Japan決勝大会で国際大会参加チームに選抜されると、日本代表として国際大会に参加することになります。社会に出てからのプログラム開発は、チームを組んで行うことも多いもの。この大会に参加すれば、チームを組んで開発を進めるという、プロジェクト形式の開発手法を身につけることが想定されます。そのことは子どもたちの将来にもきっと役に立つことでしょう。

去年大会の様子
【前編】第13回WRO Japan決勝大会レポート
【後編】第13回WRO Japan決勝大会レポート~白熱の戦い、そして世界大会へ~

WROの簡易版、アフレルスプリングカップ

アフレルスプリングカップとは教育版レゴマインドストームEV3、TETRIXで作成したロボットで競技を行う大会です。前述のWROのルールを簡単にした競技であり、WROへの出場を検討している人にとっては、前哨戦として使える大会となっています。参加資格は小学生、中学生、高校生など、WROと同じようにチームを組んで、20歳以上のコーチが1名つくことになります。ソフトウェアやプログラミング言語についての制限はありません。

2017年度は、3月25日に開催されました。初級部門の競技は主に、ロボットにライントレースや、ブロックを運ぶといった動作をさせるという内容です。ロボットの製作や、プログラム制御の基本を学ぶことを目的にしています。ロボットを使用してプログラミング学習をすることになるので、子どもたちも楽しく学ぶことができるでしょう。本大会に参加すれば、WROと同じようにチームワークを必要とするプログラム開発の技術を身につけることも期待できます。WROへの出場前に、力試しとして本大会に参加してみるのもいいのではないでしょうか。

ロボット作りもプログラミングも簡単な、たまロボットコンテスト

たまロボットコンテストは、市販のロボットを使用してプログラミングの技術を競う大会です。小中学生部門と高校生部門に分かれており、小中学生部門ではプロロボ、高校生部門ではレゴ社のマインドストームEV3を使用します。小中学生部門の場合は、ロボットに黒いラインを辿らせてゴールする早さを競うトーナメント方式の競技となっています。2017年の応募は、1月11日から2月3日の間で行われました。小中学生部門で使用されるプロロボとは自立型ロボットであり、コントローラを使用せずプログラムされた内容にしたがって動作します。小学生でも簡単に組み立てることができ、プログラムもマウスのみで作成できる手軽さで、初心者が自立型ロボットのプログラミングを学習するのに適した教材といえます。

現在、一般家庭でも普及しつつあるお掃除ロボットも自立型であり、また災害現場での被災者発見や救助といった場面で活躍が期待されるロボットも自立型です。自立型ロボットの必要性は今後ますます広がっていくでしょう。本大会に参加することにより、自立型ロボットプログラミングの考え方や基礎を身につけることは、プログラマーを目指す者にとって有益であるといえます。

大会参加でプログラミング学習の意欲を高めよう

これからの社会において、自動化は重要な技術のひとつです。機械などの自動化に必要なのはプログラム。よってプログラミングの技術を身につけるのは、これからの子どもたちにとっては必須のことであるといえるでしょう。しかし、プログラミングの学習は最初につまずきがちなものです。何から手をつけていいかわからず、迷ううちに熱意も失って挫折してしまうということにもなりかねません。

そんなときに役立つのがプログラミング大会です。大会への参加を目指すことで、プログラミング学習の範囲を絞り、方向性を定めてられるのです。また、目標を定めることで子どもたちのやる気を引き出すことも期待できます。子どもたちがプログラミングの学習をはじめたけれどいまひとつやる気がみえないといった場合や、目的意識を持たせたいというときには、プログラミング大会への参加を目指してみるということも検討してみてはいかがでしょうか。

こどものミライ