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2017.6.20
2017.6.20

「ルビィのぼうけん」の著者:リンダ・リウカス氏を囲むランチレセプションに潜入!

梅雨に突入し、雨が降りしきる2017年6月某日。
以前、こどものミライでもプログラミングに対する思いを語っていただいたリンダ・リウカス氏が、この度「ルビィのぼうけん」第二弾である「コンピューターの国のルビィ」(http://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798138770)を発刊したことを記念して、なんとフィンランド大使館報道文化担当参事官の自宅で関係者を招いてランチレセプションが行われるという事で、お招きいただき伺ってきました。

今年2017年は、フィンランドがロシアから独立して100年という節目の年

実際、目の前に綺麗に陳列されている特別な「100周年記念料理」は、フィンランドから直接送られてきた特別な食材や調味料を使って、大使館のシェフが腕を振るってくれたとのこと。フィンランド大使館公式ツイッターアカウントのマスコット「フィンたん」とムーミンがお出迎えしてくれた。

「教育」という力で、一人の先生が80人の生徒をやる気にさせることができる

リンダ氏は今回の来日で、実際の小学校に赴いたとのことだ。そこで子供たちと触れ合う事で、最初は警戒していた子供たちが、しばらしくしたら楽しそうにしていた姿を見て、これが「教育」の力なんだと実感したという。
アルゴリズムが何かと覚えている子供はいないかもしれないが、「楽しかった」という体験が、後々に成長していく段階で、やる気を起こさせることにつながるんだと思うとも。
以下、リンダ氏のコメント:

「フィンランドは昨年の8月から始まった新年度で、正式にプログラミングがカリキュラムに入ってきました。聞くところによると、日本でも2020年から小学校でプログラミング授業が始まると聞いております。いつも日本の教育関係者や学校関係者と話すと、先生たちがどうすればいいかわからないとおっしゃいます。でも、「新しいことを学ぶ」「体験する」ということによって、学べると思うので、決して遅くはないし、恐れないで欲しいと思います。
ルビィのぼうけん」は、20か国語に翻訳されているのですが、プログラミング教材「コンピューターを使わない小学校プログラミング教育 “ルビィのぼうけん”で育む論理的思考」(http://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798152615)を翔泳社さんが学校の先生方と一緒に作ったというのは、おそらく世界で初めてじゃないかと思うので、そういった意味でも日本は、やり方をわかっているのではないかと思います。プログラミング教育を始めるという勇気ある決断をしたのも素晴らしいと思います。
プログラミングを学校の授業に取り入れるのは、「創造力」「協力」「持続する力」、この3つの力が養われると思います。
未来の日本の学校にまた訪れて、プログラミングをどう活用しているのか見てみたいと思います。今日はありがとうございます。」

日本語版の発行元である翔泳社の岩切晃子氏が紹介される

次に、「ルビィのぼうけん」の日本語版を出版している株式会社翔泳社の岩切氏が紹介された。この人の尽力は大きいだろう。
以下、岩切氏のコメント:

「ルビィのぼうけん」は、編集の片岡が、キックスターターズでリンダ氏が応募したのを見て、自分の子供に是非読ませたいと思って、ずっと目をつけていたということでした。それで英語版が出たときに、版権を獲得いたしまして、鳥井さんに訳していただいて二人三脚で出させていただきました。

去年の5月に出版しましたが、3万部発行させていただきました。この数字は、私たちからすると結構大きな数字でした。なんでこんなに、売れたのかというと、やはりリンダの絵がかわいいことや、ちょうど発売した前月の4月に、2020年から義務教育化すると閣議決定されたということがあると思います。後は、元々、翻訳を担当してくださった鳥井さんとリンダがプログラマーの世界で有名人だったということもあると思います(笑)ですので、ファーストユーザーの多くはプログラマーの親御さんでした。ある書店の販売データを見ると90%近くは、お父さん世代が買っていました。
その次のユーザーは、学校の先生たちでした。この本を、義務教育の中で使えないかと。なぜかというと、先ほど日本のコンピュータの教育が遅れているという話がありましたが、ITのインフラが学校にないのが現状です。インターネットの回線の太さが十分でない学校が多く、タブレットやコンピュータの台数も足りていません。ですので、このアンプラグドでコンピュータを学ぶというコンセプトが、先生たちからするととても救いだったんだと思います。
翔泳社も今まで子供向けや先生向けの本を出したことがなかったので、リンダに出会ったことによって、私たちも冒険をしている感じです(笑)。
プログラミング教育を通じで、日本の子供たちの未来を明るくできるような活動に関与できて、とても幸せに思っています。

このまたとない機会なので、リンダ氏に直撃インタビューを敢行

せっかくのランチレセプションではあるが、そうめったにお目にかかれる方でもないので、リンダ氏に直撃インタビューをしてみた。

Q:日本でプログラミング教育を盛り上げるためにはどうしたらいいか?

A:実際、小学校で学ぶ子供たちを見たのは、少数なんですけども、見た感じでは、日本人の子供たちというのは、プログラミングを習う時、自信を持つまでに、ちょと時間がかかるということです。
フィンランドの子供たちは、間違いとかミスを犯すことを恐れていないので、すぐトライしてなんでもやってみるのですが、日本の子供たちはそれに少し時間がかかっているように見えました。ただ一度、自信が出てくると、あっという間に学んだり、「創造力」を発揮したりしていましたね。
日本の学校制度はよく知りませんが、日本では、すごく記憶すること、例えばドリルみたいなものを重視してよくやっていると聞いています。「創造力」と「テクノロジー」を組み合わせるというのは難しい事ではありますが、自分の小さい頃を思いうかべると、日本の任天堂とか、たまごっちとか、ポケモンなどを作ってきたのは日本だなと。そういう意味でいうと、「テクノロジー」と「クリエイティブ」を結びつけるのが上手で、世界の最先端をいってる国ですし、今まで培われたレガシィがあるので、それがもっとみんなに伝わっていくとプログラミング教育もよくなっていくのではないかと思っています。
日本の方たちと話をすると、さっき言ったように、「私たちはプログラミング教育に対してだいぶ遅れている」だとか、「なかなかできない」ということをおっしゃるんですけども、「ルビィのぼうけん」にも書いてあるように、大きな問題というのは小さな問題の積み重ねです。ですので、システムを変える(プログラミング教育を入れる)という大きな決断をしたことが、第一歩なのですから、素晴らしい第一歩を進んだと思います。多分、他国以上に、日本は大きなスケールでプログラミング教育に取り組んでいて、本当に素晴らしいし、他国も楽しみにしていると思います。

Q:未来の子供たちに向けてメッセージを

A:プログラミングというのは、あくまでもツールであって、メカニカルなことを学ぶものではないので、子供たちはもっと考えることができると思います。プログラミング自体は
自己表現できるツールでもあり、理解を広めるツールでもあるので、もっと学ぶことが必要だと思います。だから私は、この1巻、2巻でコンピュータの事を、次に予定している第3弾ではインターネットについて、第4弾ではAIについて書いていくつもりなので、プログラミングやコンピュータの一面性だけではなく、色々な事に、多岐にわたっていることを理解してほしいのです。「テクノロジー」を恐れてほしくはないですね。

なんともありがたいコメントだ。
リンダ氏の「大きな問題というのは小さな問題の積み重ねです」という言葉、それは、日本が抱えるプログラミング教育の事だけに限らず、日々の私たちの生活にも言えることだろう。

なお、このイベントの様子は本日テレビで放送されます。
~リンダさんワークショップとインタビュー~
放送日時:6月21日(水)22:00~22:50
番組名:国際報道2017(NHK SB1)
http://www6.nhk.or.jp/kokusaihoudou/
コーナー名:せかトレ(世界のトレンドの略)
内容:最先端のプログラミング教材の展示会と、
アンプラグド教材を使ったワークショップの様子を
リンダ・リウカス氏のインタビューを交え
3~4分で放送予定。
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最後に、リンダ氏のご両親と共に。

こどものミライ