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2016.8.24
2016.8.24

絵本で学ぶプログラミング:小さな女の子「ルビィのぼうけん」の物語

世界各地でプログラミング教育に関する活動が多くなってます。
日本でも2020年にはプログラミング教育が必修化となり、
こどもたちへどのように伝えるべきか?が議論されてます。
そんな中、女性向けの無料プログラミング・ワークショップとして2010年に始まった「Rails Girls」創始者のリンダ・リウカス(Linda Liukas)さんが、「プログラミング的な思考」を伝えるために絵本を出版されました。

Linda Liukas. Photo: Maija Tammi

Linda Liukas. Photo: Maija Tammi

Q:プログラミングの世界を伝えるために本を出版された理由はなんでしょうか?

理由はいくつかあるのですが、
一番注目したのは「物語」という存在です。
「物語」というものは、子供に一番強く影響を与えるものだと考えてます。
こどもの頃を思い出してください、
例えば絵本がそうであるとおり、「物語」を通して世界を理解し
大人になっていいくものだと考えています。
また、新しいコンセプトや概念を理解するのに、
「物語」という手法は最良の方法ではないかと思いました。
テクノロジー教育を学ぶ手法として「物語」はあまり活用されてなかったというのもあり、
今回取り入れてみました。

Q:登場人物「ルビィ(Ruby)」誕生のきっかけは?

私が3年前プログラミングを教えているときに、ノートの片隅にルビー(Ruby)のキャラクターの落書きをしたことから始まりました。
何か問題と出会った時にはいつでもその女の子が出てきて、
「ガベージコレクションがなんであるか?」だったり、
「オブジェクト指向でプログラミングがどう動いたりするか?」
を説明する事が出来る、小さな女の子です。
その想像力豊かな小さな女の子は、テクノロジーの世界のどこでも現れ始める。
そんな「物語」があってもいいんじゃないか?というアイデアがひらめきました。
こんな経緯で出版された”Hello Ruby”は、多くのプログラミング教育の方法を提供し、
“プログラミング的な思考”を学ぶ事ができる教材として、一躍有名になりました。
私たちは、この6月にはヘルシンキで30人の子供を集めたサマースクールを開催し、
そして、モバイルのアプリケーションは秋にリリース予定です。
さらに、続編であるRubyの冒険の本第2弾はもうすぐ発売予定です!

Q:フィンランドのプログラミング教育とはどういったものが特徴的ですか?

小学校ではまず「プログラミング的な思考」をメインに学習します。
問題を要素に分解し、コンピュータに明確な指令を与え、順次処理を進めるといった思考方法です。
プログラミングは、それが(英国のように)メインの教科というわけではなく、各教科やカリキュラムに横断的に適用されて教えられます。
数学、英語、地理の授業それぞれに問題解決の「1つの手段」というように教えられます。

Q:プログラミングについて男女の違いはありますか?

そこに違いはあるとは思いません。あるとすれば成長にするにつれての物の見方の違いです。
特に女の子がプログラミングに不向きなんていう理由もありません。
なぜなら集中力もありますし、「どうして?」「なぜ?」といった質問をするのが非常に上手です。
私たちはテクノロジーの世界を何か異質な世界なもの、機械的な冷たく怖いものであると考えてしまいがちです。
そうではなく、私が伝えたい事は、音楽を奏でたり、絵を書いたり、詩を朗読するために、
クリエイティブな道具(ツール)になりえるという事です。
あなたの純粋な言葉や思考構造の何もないところから創造します。
プログラミングを学ぶことは、あなたに別の世界があるということを教えてくれます。
そう、コーディングは遥か彼方にあなたを連れて行ってくれます。
画面上に書かれたif/else文、配列などの文章は表現であり、創造です。
そして実用的なアプリケーションをもあなた自身の手で、生み出すことが出来ます。

Q:今後の活動について教えてください。

すでに私はシリーズの3番目の本に取り組んでいます。
最初のHello Rubyは、計算の考え方、プログラミング的思考についてでした。
第二弾は、コンピュータはどのように動くかについて、
そして第3弾はインターネットの仕組みについてがテーマです。
そして、私たちは学校でのカリキュラムの設計と教師の指導に取り組んでいます。
そして、繰り返しになりますが、すぐにモバイルアプリケーションもリリースします!
お楽しみに!

Linda Liukas. Photo: Maija Tammi

Linda Liukas. Photo: Maija Tammi

Q:最後に、日本のこどもたちに一言メッセージをお願いします。

プログラミングを学ぶことに失敗がある事を忘れないでください。
そして、もしコードのセミコロンを記述するのを忘れたからと言って、世界の終りが来るわけではありません。
“デバッグ”という名前で呼ばれている、みんなが実践している素敵な事もあります。
良きプログラマーは毎日ミスをしています。
そしてやっている事の大部分は、単純に大きな問題を小さな要素に噛み砕いて解決しているだけなのです。
そう、ルビーはこう言うでしょう、
わたしたちの世界に大きな問題があったとしても、それをみんなで小さな問題にしちゃいうましょうよ!」って。

「ルビィのぼうけん」
リンダ・リウカス著、鳥井雪翻訳
翔泳社 114p 1800円(税別)
http://www.shoeisha.co.jp/book/rubynobouken/

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