コラム
COLUMN
COLUMN
コラム
 | 
2018.9.3
2018.9.3

任天堂『Nintendo Labo』(ニンテンドーラボ)でプログラミング!

今や、おもちゃの世界にもAIやVRなど、様々な最新技術を体験できる製品が登場しています。スマートトイ研究所では、教育ライターと小学生の親子が、デジタルとアナログが融合した最新のおもちゃや教材について、実際に遊んでみた体験をもとに、遊び方から効果、子どものハマり度までを考察していきます。

作って遊んで考えて楽しめる!任天堂初の新しいおもちゃ

第2回では、任天堂から発売された「Nintendo Labo」をご紹介します。ダンボール製のキットを組み立てて作った専用コントローラ「Toy-Con」を使ってゲームを楽しんだり、自分で新しい発明をしたりと、今までにない遊び方ができるまったく新しい形のおもちゃです。

現在は、5種類のToy-Conキットが入った『Variety Kit』と、本格的なロボットToy-Conを作って遊べる『Robot Kit』の2種類が発売されていますが、今回は入門編として作りやすい『Variety Kit』をご紹介します。『Variety Kit』では、「リモコンカー」「つり」「おうち」「バイク」「ピアノ」の5つのToy-Conキットを製作し、遊ぶことができます。

『Nintendo Labo Toy-Con 01: Variety Kit(バラエティ キット)』
●発売 任天堂
●直販価格 7,538円 (税込)

【パッケージの内容物】
・Variety Kitゲームソフト
・ダンボールキット
内容:ダンボールシート28枚、再帰性反射材シート3枚、スポンジシート3枚、ヒモ(オレンジ、ブルー)各1本、ハトメセット(グレー)1セット、(ブルー)4セット、輪ゴム(大)(小)

付属のゲームソフトには、作ったToy-Conで遊べる専用ゲーム、キットの作り方ガイド、遊びを発展させるヒント、さらにプログラミングツール『Toy-Conガレージ』などが収録されています。

初めにお断りしておきますが、『Nintendo Labo』は”おもちゃ“です。
決して学習教材ではありません。
Nintendo Laboに限った話ではありませんが、学習効果を期待して子どもにやらせようとすると、失敗してしまうことが往々にあります。

Nintendo Laboは、子どもも大人も自分の中にある”工作魂”を全開にして、どんどん作ってガンガン遊ぶ。そしてその延長でもっと作ってみたくなったら、付属ソフトの『Toy-Conガレージ』を使って発明をしてみる。そんな楽しみ方ができる製品です。
まずは付属のキットを使い、思いっきり遊び倒してください。パッケージに書かれた「つくる・あそぶ・わかる」という言葉の通り、作ったり遊んだりすることで仕組みを自然に学んでいき、後々の発明にもつながっていきます。

工作ツールとしても非常に優れたキット

我が家では、実際に『Variety Kit』と『Robot Kit』の2つを子どもがメインに製作し、できあがったToy-Conを使って親子で遊んでいます。
Nintendo Laboを作ってみて驚いたのが、付属のダンボールキットが非常に優れていることです。ダンボールシートは、家で使っているような梱包用のダンボールとは異なる薄めの素材ですが、頑丈でとても扱いやすいのが特徴。しかもすべて切り取り線が入っているため、ハサミなしでどんどん切り取っていくことができます。また、たまにダンボールを扱っていると手を切ったりしてしまうことがありましたが、このダンボールシートで10時間以上も製作していたなかで、そういった怪我は一度もありませんでした。

ダンボールシートにはあらかじめ形が印刷され、ハサミ不要で手で切り取ることが可能。ノリやテープも使わず、子どもでも楽しんで組み立てることができます。

ハサミやノリといったツールも不要なのに、しっかりとした箱や様々な形に組みあがっていく。隅々まで計算しつくされた設計のすばらしさに感動しました。

作り方については紙のマニュアル等は一切入っていません。付属のソフトにとても詳しい解説動画が入っているので、この通りに作っていけばまず迷うことはありません。ただし、小学生が製作した場合、個人差もありますが、ひとつのToy-Conで1~3時間と、それなりに時間がかかります。少しずつできあがっていく過程が楽しく、長時間におよぶ工作も苦になりませんが、『Variety Kit』の全キットを1日で作り終えるのはほぼ不可能ですので、1つずつ作って遊んで、時間をかけて楽しむのがおすすめです。

作り方マニュアルは、前に戻って確認したり、早送りしたりと、使い勝手もよかったです。

作ったら遊ぶ!遊びの中で仕掛けに気付く

Toy-Conができあがったら、さっそく遊んでみましょう。Nintendo Laboでは遊び方はひとつではありません。たとえば「つりToy-Con」なら、釣りをしただけで終わりではなく、釣った魚を自分の水槽に入れて鑑賞したり、自分でオリジナルの魚を作って遊んだりすることも可能です。そのほか、「バイクToy-Con」を使って、任天堂のゲーム『マリオカート8 デラックス』をプレイすることといった遊び方も用意されています。

苦労して作ったあとは、ごほうびのプレイタイム。自分で作ったToy-Conで遊ぶ楽しさは格別です。

子ども達は、自分で作ったばかりのToy-Conであれば、どういう仕掛けになっているのか、なんとなくわかっています。そこで、さらに「ここにJoy-Conを差し込んでいるから、センサーが反応してるんだね」といった声がけをすることで、仕組みをより深く理解できるようになります。

「Toy-Conガレージ」で子どもの発明魂を刺激する!

作って遊ぶだけでも楽しいNintendo Laboですが、その先へ踏み込むと、さらなる楽しさが待っています。それが「発明」です。

子どもが「何か作ってみたい」という意思を示したらチャンス。そのきっかけ作りとして、任天堂が公開している「Toy-Conガレージ」の紹介動画を見せるのもよいでしょう。
「Toy-Conガレージ」とは、Nintendo Laboのソフトに収録されているプログラミングツールで、Nintendo Switchとそのコントローラ「Joy-Con」に搭載されているセンサーの機能を活用し、音を鳴らしたり、Switchの画面に任意の形を表示させたりすることができます。

用意されたキットを画面通りに作っていけば出来の良いToy-Conが完成したこれまでと違い、いきなり自分で作りだすとなると、ハードルが高く感じるかもしれません。でも、ここで諦めてはもったいない! まずは、「Toy-Conガレージ」に収録されているサンプルを見て、どんなことができるのかを手探りで感じてみてください。

「Toy-Conガレージ」の画面。最初はサンプルプログラムを見て、使い方に慣れていくのがおすすめ。

「Toy-Conガレージ」を使うには、まずNintendo Switchのコントローラ「Joy-Con」の特性を知る必要があります。Joy-Conには加速度センサーとジャイロセンサーがあり、その機能を活用することで、様々な新しい遊びを作ることができます。たとえば「Joy-Con(R)を振ったら、Joy-Con[R]を振動させる」といった仕掛けを簡単に作れるので、Joy-Con[R]を箱に入れて相手に渡せば、簡単ビックリ箱ができあがります。

最初から難しいものを作る必要はありません。なんとなく見様見真似で作っていくうちに、それなりの作品ができあがっていきます。そこに面白さを感じてくると、もっと凝ったものが作りたくなってきます。

ビジュアルプログラミングに近い操作方法なので、Scratchなどを経験している子どもであれば、すぐに使い方のコツを覚えてしまいます。

身近な材料で工作をして「Toy-Conガレージ」と組み合わせる

最初は工作はなしで、Nintendo Swich本体とJoy-Conだけを使って楽しんでみましょう。慣れてきたら、工作をまじえて発明してみるともっともっと楽しくなります。工作に使うのは、ダンボールや折り紙、紙コップなど、身近にあるものでオーケーです。

ちなみに、我が家で重宝したものは、以下でした。
・工作用紙
・ストロー
・輪ゴム
・色セロファン
・絵の具
・ビニールテープ

他にもアルミホイルの使い終わった芯、ガチャガチャのカプセル、お菓子の空き箱など、なんでも材料になります。

ダンボールは固く切りづらいので、100均ショップなどでも販売されている工作用紙がおすすめです。ある程度丈夫で升目がついているため、箱などを作りやすいです。ビニールテープは留める役割だけでなく、作った工作をカラフルにする役目も果たしてくれます。マスキングテープでもよいですが、留めるほどの粘着力はないので、あくまでデコレーション用として使っていました。

5分で完成!ドミノ倒しの仕掛けを作ってみた

今回、親子で作ってみたのが「ドミノ倒し」のシステムです。NHK教育テレビの『ピタゴラスイッチ』に出てくるような装置を作りたいと考えたものの、なかなかそこまでは及ばず。試作品として、家にあるものを使って、ごく簡単なドミノ倒しの装置を考えました。
手に持ったNintendo Switchの画面をタッチすると、机に置いたJoy-Conが振動し、隣にある箱を動かしてドミノを倒していき、最後のドミノが紙コップの中に入ってコップが落ちるという仕掛けです。

プログラム自体はとても簡単なもので、思いついたら2分ほどで小学生の息子は完成させていました。ちなみに、いちばん時間がかかったのは、ドミノ用の木の板を並べるところです。ただドミノ倒しをするのも楽しいですが、ここに「Toy-Conガレージ」の要素を加えることにより、新しい遊びを見つけることができました。

親は子どもの「作ってみたい」気持ちをサポート

「動画にあった作品を作ってみたい」
「とにかく工作をしたい」
など、動機はなんでもオーケーです。でも、作ってはみたいけれど、どんなものを作ればいいのかわからないと、作る手前で立ち止まってしまう子も少なからずいます。そんなときは、親からヒントを出してもよいでしょう。もしくは、工作好きなお父さんやお母さんであれば、自分でどんどん作ってしまうのもアリです。大事なのは「作ってみたい」という気持ちと、それを実現するまでの頑張り。あせらず、子どものあったペースでサポートしてあげてみてください。

子どもが作り始めたら、あとは見守るのみ! どんな作品が生まれるか楽しみです。

なお、9月14日には第三弾となる「『Nintendo Labo Toy-Con 03: Drive Kit』が発売されます。こちらは地上・空中・水中を移動できるドライブゲームをテーマにしたToy-Conキットが同梱しています。ゲーム性も高く、さらに遊びが広がりそうです。

Nintendo Labo Toy-Con 01: Variety Kit
親子で遊べる ★★★★★
一人でも遊べる ★★★★
わかりやすさ ★★★★
価格と導入コスト ★★★
相川いずみ