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2016.7.10
2016.7.10

総務省の行うICT教育とは?必要なシステムまとめ

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総務省の肝いりで、ICT(Information and Communication Technologyの略)を公教育へ導入する動きが推進されています。この記事では、総務省の進めようとしている「ICT教育」の内容と、必要となるシステム環境についてまとめます。

「ICT教育」導入に向けた具体的な動きとは?

総務省のHPには、「教育情報化の推進」として以下のようなメニューが挙げられています。
(1)先導的教育システム実証事業(平成26年度~)
(2)若年層に対するプログラミング教育の普及推進(平成28年度~)
(3)校内LAN整備の促進
(4)教育分野における最先端ICT利活用に関する調査研究(平成25年度)
(5)フューチャースクール推進事業(平成22年度~25年度)
(6)ICTメディアリテラシーの育成
(7)eネットキャラバンの推進
(8)インターネットトラブル事例集
(9)社会・産業におけるICTシステムの役割についての啓発教材
このうち、(1)、(3)、(4)、(5)が実際にICT活用を進めるために総務省が進めようとしている事業となります。そして特に(1)、(4)、(5)で総務省が着目しているキーワードが「クラウド」です。総務省では、コスト削減や柔軟な拡張性、セキュリティ強化などの理由から、クラウド環境で教育サービスやプラットフォームを整備することを呼びかけています。

必要となるシステムはどのようなものか?

総務省の求めるクラウド活用型ICT教育の推進のためには、ICT機器・ネットワーク・教育用コンテンツの三点をそろえることが必要になります。
ICT機器とは、言うまでもなく教師や生徒が使用することのできるPC、タブレット、モバイルデバイスなどといったデジタル機器のことです。また、近年ではディスプレイかプロジェクターを投影できる「電子黒板」の活用が広まっています。
次にネットワークについては、教育目的であることから校内ネットワークを経由したインターネット接続が大前提となりますので、まずは校内ネットワークを整備しなければいけません。また、校内ネットワークから地域イントラネットを経由する場合は、負担が同時期に集中することを見越してそれに耐えられるような設計が求められます。
最後に、授業内で使用したい教育用コンテンツを準備する必要があります。動画やドリルを授業の補習として使用したいのか、子どものグループ学習のために使用したいのか、など目的を明確化する必要があります。もちろん、その根本には「ICTの活用によって教育に何をもたらしたいのか」という目的意識を持たなければなりません。
上記三点については、いずれもNTTやパナソニックなどといった大手企業がサービスを提供しています。

ICT活用に向けた課題

予算の確保という問題を除くと、ICT活用の根本には「手段の自己目的化」という課題が常に立ちふさがっています。
「教育にICTを導入する」というのは、目的ではなく手段です。ICT活用を推進することで、予習や復習が効率的になり知識が定着しやすくなったり、子どもの自発的学習習慣が身についたり、子どもによる調べ学習がうまく進められるようになったり、といった「効果」が目的でなくてはいけません。
しかし、教育政策として学校レベルへ下りていく過程で、「教育にICTを導入する」ということ自体が目的化してしまい、何のためにICTを導入するのか?という問いが見失われる危険性があります。
実際、それによってシステムの管理責任があいまいになったことでセキュリティトラブルが発生したり、ソフトのダウンロードもままならないほど現場で準備が整っていないのに授業が進んでしまったり、といった問題が発生してきています。何のためにICTを活用するのか、という問いを総務省や文部科学省から、教育委員会・学校が共有しなくてはいけません。

まとめ

ICT教育の推進には、積極的なシステム環境整備が不可欠です。「ICT教育を推進する」こと自体が目的化し、それによって何を達成したいのか、どのように推進するのかという議論が抜け落ちないように、私たち国民が注視していく必要があります。

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