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2016.11.2
2016.11.2

ロボットプログラミング教材7種一挙紹介!!〜Makeblock、Robotami、KOOV他

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最近よくロボットプログラミングという言葉を見かけるようになりました。今回は、今年の教育ITソリューションEXPOで見つけたものを中心に、どんな教材があるのか、ざっとご紹介したいと思います。
《ご紹介教材》
(1)LEGO Education/(2)アーテック(&もののしくみ研究所)/(3)KOOV/(4)ヒューマンアカデミー/(5)ROBOTAMI/(6)ソビーゴ/(7)Makeblock

(1)LEGO マインドストームとWeDo2.0

LEGO Educationのマインドストーム EV3はロボットプログラミングの老舗と言えるでしょう。
洗練されたパーツ類と直感的なプログラミングツールで、安定感のある存在です。同じくLOGOから、4月にジュニア向けのロボットプログラミングツールとしてWeDo2.0が発売されました。
こちらは低年齢層が扱えるように機能の絞り込みや扱いやすさの工夫がされています。
パソコンやタブレットのアプリでドラッグ&ドロップの簡単操作でプログラムを組み、そのままBluetooth通信で、ブロックで作ったロボットを動作させるという簡易的な仕組みです。

マインドストームはパソコンやタブレットのプログラミングツールからプログラムしてロボット単体で動かせる。

WeDo2.0は、プログラムを組んだ画面をタッチして作ったロボットを動作させる。

(2)アーテック

日本の会社で、ロボットプログラミング教材を出しているアーテックのRobotist

新しい動きとしては、学研エデュケーショナルがこの教材を使ったロボットプログラミング講座のカリキュラムを開発しました。「もののしくみ研究所」という名称でカリキュラムを提供し、塾や学校が加盟して開講できるようになっています。

(3)KOOV

また、ソニー・グローバルエデュケーションがアーテックとの共同開発として、新たに「KOOV(クーブ)」という製品を発表しました。
ブロックの形状はアーテックのものですが、やわらかなカラーバリエーションでKOOVらしさを出しています。基板部分は白いボックス状になり、抜き差しして使う電子パーツやセンサー類も、より丈夫で子供でも扱いやすい工夫で進化させてあります。プログラミング用ソフトも、アーテックのものはパソコンからで無骨な感じが否めないのですが、KOOVではタブレットのアプリとして簡単操作できるよう現在開発中とのこと。

アーテックのオリジナル教材は良くも悪くも「材料っぽい」ところがありますが、こちらはそれをベースにより洗練された製品化を目指しているといえます。
とても期待したいところなのですが、目下開発中で2017年3月に販売開始が予定されていて、プログラミングツールはまだ確認することができません。
発表になったばかりの今年のグッドデザイン賞で金賞を受賞したので、注目度がアップしそうです。
現在、銀座のソニービルでプログラミング済みのロボットのみ展示されています。
プログラミングツールごと公開されるのはまだ先になりそうです。

今年の夏にソニービルの企画で展示されていた海の生き物ロボットデモ

(4)ヒューマンアカデミー

教育事業全般を手がけるヒューマンアカデミーが運営するロボット教室のオリジナル教材がこちら。監修はロボットクリエーター高橋智隆氏。
ギアやモーターなど動力、てこの原理などの力学を理解して、動きのカラクリを作っていくことに主眼が置かれていて、画面でプログラミングさせることはないので、これはロボット教材と呼んだ方がよいでしょう。プログラミングをしないというだけで、モーターはもちろん、センサーを使った仕組みも作っていきます。

プログラミングをする上級のコースは、教材も全く別のものがあり、こちらはむしろむき出しの材料っぽさがあり、プログラミングもコードがそのまま見えている状態というアプローチで、だいぶ趣が違います。
教材単体での販売はされていません。

(5)ROBOTAMI

こちらは、韓国のrobotron社のROBOTAMIです。日本の販売代理店は康栄コーポレーション。
これはカリキュラムがとてもよくできている印象を受けました。
全てベースのブロックパーツは共通で、1年目〜5年目(Junior1〜5)までカリキュラムがあり、プログラミングなしのロボット制作から始まります。ロボットの動力・力学系の仕組みを学ぶ段階からスタートし、次第にプログラミングの要素が加わっていきます。リモコンから操作したり、専用端末にカードを通してプログラムを作るステップも用意されていて、最後の5年目で初めてパソコンの専用ソフトからプログラミングをします。

年12段階で5年間のステップに分けて細くカリキュラムが組まれています。

パソコンでのプログラミングをする前段階に、専用端末にカードを通してプログラムをするステップも。
ロボットの動的な仕組みとロボットプログラミングを、なだらかなラーニングカーブで学べるように考えられていて、教える側に安心感をあたえてくれる、よく練られたプリセット感のある教材だといえます。
日本ではまだ紹介されたばかりなので、これからの動向が楽しみです。

(6)ソビーゴ

ソビーゴ(RP1)は、一見フレンドリーに見えますが実は「材料そのもの」感が一番強いです。IchigoJamという基板に小さな液晶画面とキーボードをつないて、小型のBASICパソコンとして使います。プログラミングの際は、「LED1」「SAVE」のようにBASICのコードそのものをキーボードから打つという、かなり「素」の状態。
ソビーゴでは、ダンボールの外側とサーボモーターやキャタピラなどを工作的にに組み立てて本体を作り、そこにIchigoJamを接続して動きをプログラムします。左タイヤを回転させるなら「OUT1」とタイプして……という手順なので、決して直感的なツールではありません。そこを逆に良さと捉えた方が教材としては生きてきそうです。

低年齢層向けには、ソビーゴ(BP1)がありますが、こちらは全く別でタブレットのアプリなので、ロボットプログラミング教材とは異なります。

(7)Makeblock

最後にご紹介するこのMakeblockは、子どものロボットプログラミング教材としてはもちろん、それを越えた拡張性がすごい製品です。
パーツはブラスチックのブロックではなくアルミニウムのプレートとネジなどで「本物」っぽく、製作意欲が刺激されます。一番基本のmBotやmBot Rangerというロボットキットなら、Scratchベースのパソコン用ソフトウェアやタブレット用のアプリも用意され、直感的なプログラミングができます。ここからスタートしてパーツを増やしたリ、センサー系を足していけば、もっと複雑なものに挑戦していけるでしょう。

直感的なインターフェースのプログラミングツール
ベースになる基板部分もいくつか種類があり、ライトセンサー、サウンドセンサー、温度センサー、ジャイロスコープが内蔵されているものまであります。
このシリーズは教育用ツールに止まらず。なんと、3Dプリンターやレーザー刻印機「そのもの」まで作ることができてしまいます。パーツとプログラミングで何でも作れるよ、というところを目指した壮大なラインナップです。

左がMakeblockで作った3Dプリンター。これもキットで販売されています。
開発会社のMaker Works Technologyは中国の会社ですが、Makeblockはアメリカ・ヨーロッパ他で広くで販売されています。日本ではまだあまり知られていませんが、ネットで個人で直接購入することもできます。

いかがでしたでしょうか?ロボットプログラミング教材にもいろいろなものがあり、特徴も違います。
説明書通り組み立ててプログラムを組むだけではなく、それを通じてどんな経験をして欲しいのか、ということを意識して教材選びをすることが大切そうです。

狩野さやか