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2017.7.18
2017.7.18

自然のコードと人間のコード

プログラミング教育は、プログラムを組むことが目的ではない

人は生まれながらにして、いや、生まれる前、母親のお腹の中にいる頃から、コミュニケーションをとっている。
どのようなコミュニケーションをとるか?
それは人それぞれだ。
普段デザイナーとして仕事をしていると、様々な職種の人と出会う。
みなWEBサイトを作って欲しいと言うけれど、どのような「役割・機能」を持ったものが欲しいのか、言葉で伝えられるところまで意識していない人がほとんどだ。
会社や店舗としてWEBサイトがあって当たり前、だから作る。
ものをつくる事への意識が、そのレベルで進行してしまっている。
無意識下では、どのようなものが必要なのかを理解しているはずなのに…。
潜在的に求めていることを、こちらからくみ取るコミュニケーション力が必要である。
WEBサイト自体も、ユーザーとのコミュニケーションの一つだ。
どのようにこちらの情報を提供するか、どのようにユーザーの知りたい情報へ導いてあげるか。
需要と供給の関係性をしっかりと考えて作らないと、何も機能しない、一方的なサイトを作るだけになってしまう。

話が少し逸れるが、12年前から専門学校でデザインやWebプログラミングの授業を担当している。
当初、SEプログラマー科の学生たちにデッサンを教えていた。
絵が得意という学生はほとんどいない。
なぜデッサンの授業があるのか、学生たちは理解できていなかった。
絵を上手に描くことが目的ではないことを説明し、「ものを見る力を身につけて欲しい」というコンセプトのもと授業を行っていた。
私の言葉を信じて取り組んでくれた学生は…

※駿台電子情報&ビジネス専門学校SEプログラマー科学生作品

美大受験生にも負けないレベルの画力を身につけた

普段の生活の中で、無意識の部分を意識できるようにすること。
絵を描くこと、音楽を奏でること、プログラムを組むこと。
どれも無意識(余白、間、待つ)を意識する必要がある。
話を戻すと、WEBサイト制作に於いても同じである。
相手の要望をくみ取り、感じる力。
自分の意見や気持ちを整理し、言葉にして相手に伝える力。
この2つの力をバランスよく身につける事が、何事に於いても大切なのだ。
プログラムを組むことが目的ではない。
プログラミングで、ものづくりを経験しながら「ものごとの仕組みを感じて欲しい」。
それを経験していれば、WEBサイトの制作を依頼するときも、制作するときも、どのような「役割・機能」を持ったものが必要なのか、しっかりと感じられるようになるだろう。

2020年から日本のすべての小学校で、プログラミングを取り入れた授業が始まる。
中学校では武道必修化が始まっているが、日本の禅や武士道には、言語による表現の範囲を超えた思想の領域を探求する考えがあるという。
日本の文化の良さをうまく継承し、言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションを身につけることができたなら、これからのグローバル化社会を生きていく日本の子供たちの存在と役割は、更に大きなものになるのではないだろうか。
そんな、2020年からのプログラミング教育に関して、私も著者として参画した本が発売されたので、ここで、紹介しておきたい。

2020年から必修のプログラミング教育はこうなる

<小学校の「プログラミング授業」実況中継 [教科別]2020年から必修のプログラミング教育はこうなる>
2017年7月11日発売

松田孝,吉田潤子,原田康徳,久木田寛直,赤石先生,利根川裕太,國領二郎,サムエル・デビドソン 著,平井聡一郎,福田晴一 監修
B5判/144ページ
定価(本体1,640円+税)
ISBN 978-4-7741-9103-4
購入はこちらから↓
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4774191035/gihyojp-22

久木田寛直