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2018.6.26
2018.6.26

AIには文脈がわからない!?

前回に引き続きAIコピーライターについてですが、
今回は文章表現全般に言える内容です!
テクニカルアーキテクトの柴田さんを交えてトークします!

ちなみに広島カープの話は入ってません!じゃあ、本題入ります!

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ぼく「・・・ということで、柴田さんにお話をうかがうことになりました。よろしくお願いします」

柴田さん「はい、お願いします」

ぼく「早速ですが、こんなモノを用意したんですね。はいどーん。」

柴田さん「なんですかこれは?」

ぼく「架空の団体のポスターなんですけどね。」

柴田さん「すいません。話が見えないんですが…」

ぼく「あ、すいません。話したいことはコピーの構造の話です」

柴田さん「コピーの構造…」

ぼく「このポスターはビジュアルとキャッチフレーズとタグラインと企業名で成り立っています。
1つのコピーでは言えることが基本的に1つなので、言葉の振り分けが必要なんです」

柴田さん「はいはい」

ぼく「コピーの役割を整理しますね。キャッチフレーズは興味喚起を促すためのコピー。
このポスターでは「毎日きみに会いたくて」です。

ぼく「ただこれだけだと、言いたいことを言い切れてなくて、単体では正直何を言ってるかわからな
い。たとえば、要素を差し替えたら、アイドルの告知ポスターになります。例えばこんな感じ
で。はい どーん」

柴田さん「なるほど。…って、これもつくったんですか!?」

ぼく「あ、はい。キンコーズで印刷しました」

柴田さん(この人、ちゃんと仕事してるのかな…)

ぼく「まあ、こんな感じでキャッチフレーズで言えていない要素をタグラインや企業名、
ビジュアルに振り分けてコピー構造をつくってるんですね。
で、こっちのポスターに話戻します」

ぼく「このビジュアルはどう見てもうんこだし、タグラインでもネーミングでも
うんこのニュアンスは入っているので、キャッチではうんこは言わなくていい。
みたいな判断をしていくわけです」

柴田さん「はい、あの・・・」

ぼく「はい?」

柴田さん「うんこって連呼しないでほしいんですが」

ぼく「あ、すいません。ちなみにうんことレンコって似てますね、うふふふ」

柴田さん「…ふふふ」

ぼく「・・・で、聞きたいのは、AIがこういう振り分け作業ができるのか、ってことです。
コピーの構造をつくったり、ビジュアルと言葉の距離感を計算したり。
これできないとコピーライターの仕事はできないと思うんですよね」

柴田さん「うーん・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

そうですね…。結論から言うと、
現状では、まったく同じようにはできないとぼくは思います」

ぼく「あ、できないですか?」

柴田さん「はい。大前提としてAIは計算機なので文脈は理解できないんですよ」

ぼく「文脈が理解できない?」

柴田さん「ええ」

ぼく「でも、AIが小説を書いたみたいなニュースもあったじゃないですか」

柴田さん「AI小説プロジェクトがどうしてるのかは厳密にはわからないんですが・・・。
AIが意味を理解してつくってるわけではないと思います。たぶん、ストーリーとして
成立するようにうまくフォーマット化してるんじゃないかなぁ。
偶発的にいい文章ができる確率を上げるというか・・・」

ぼく「意味わかんないで書いてるんですか?」

柴田さん「おそらく」

ぼく「なんかショックだな・・・」

柴田さん「ただ、意味がわからなくて書いたものでもある程度の結果を出しているのも
事実なわけで」

ぼく「まあ、確かに。その話でいくとフォーマット化すればコピーライティングはAIにも
できそうですもんね」

柴田さん「そこはモノによるんじゃないですかね。さっきみたいな要素が少ないものなら、
AIが大量に自動生成する状態はつくれるのかもしれないけど、
コピーの組み合わせが成立しているかどうかは結局人間が見ないと
わからないと思います」

ぼく「あー・・・」

柴田さん「あとは、出てくるコピーが多すぎると判断も大変だなあ、と。1,000案以上出るって、
いいことのように言われてますけど、それってマイナスなんじゃないか
と思うんですよ。」

ぼく「確かに。冷静に考えると、バナーのコピー案1つにしぼるのに毎回毎回クソみたいな案を
1,000案も見せられるのはちょっとイヤかも」

柴田さん「(クソみたい・・・)・・・それもそうですし、
素人目線でいくと1,000案の中からコレ!
という1案を選ぶのはその時点で難しいと思うんですよ。
それに、この振り分けだったら成立してるって判断もプロじゃないと難しい気がします。
ぼくが何千もある案の中で成立してるものだけを的確にピックアップできるか
というとちょっと自信ない・・・」

ぼく「経験も必要ですしね。その判断をAIができるようにはならないですか?」

柴田さん「うーん・・・。そうですね・・・。繰り返しますけど、AIには文脈がわからないんです。
だから文脈に関わる判断はちょっと現時点では無理ですね。ただ、・・・
どうかなぁ・・・。判断できてる風にゴマかす方法はあるのかもしれないけど・・・。
ゴマカシじゃあ頭打ちになるだろうし・・・」

ぼく「なんとも言えない感じですね」

柴田さん「そうですね。あとは構造が複雑すぎたり、構造をそもそもつくり直すとかはハードルが
高いかな。方法はあるのかもしれないけど、コストが見合う気がしないですね」

ぼく「なるほど・・・」

柴田さん「基本的には数式で表せることしかできないんで、なにかと制約は多いと思いますよ」

ぼく「あと聞きたいのが比喩表現についてです。
さっきの話だとAIは基本的に内容がわかってないじゃないですか」

柴田さん「ええ」

ぼく「そうなると何かをまったく別のものに例えるのはほぼできないんじゃないかなと思って」

柴田さん「比喩表現の入ったコピーをいっぱい学ばせれば、テキトーに組み合わせたコピーは
出てくる気がします。けど、的確なものが出ることはほとんどないと思います。
ほとんどがナンジャコリャって感じのもの。的確な比喩表現があったとしても、
それはほとんどマグレですよね」

ぼく「マグレ・・・」

柴田さん「AIは文脈がわからない。これは基本変わりません。ただ、それを前提に学ばせ方とか
学ばせるデータとかをあの手この手で工夫して、望む結果に近づけていくことは
無理ではない。でもそこには限界があるし、言語は感覚による判断が
あまりにも多いので、AIが丸ごとコピーライターの仕事を肩代わりするのは
現状ではイメージできません」

ぼく「ほほう」

柴田さん「なので、月並みになっちゃいますけど、AIとコピーライターが協力してやることが
大事なんじゃないかなと思います」

ぼく「そうですね。結局そうなっちゃうんですね」

柴田さん「現状ではそこが言える限度ですね。なにかものすごいイノベーションが起きて変わるかも
しれないけど、今のところそんな気配は感じないです」

ぼく「なるほどー」

柴田さん「とはいえ、AIが発展することで、奪われる仕事や、やらなくてよくなる作業は格段に
増えると思いますけどね」

ぼく「あ、それで思ったことがあるんですけど」

柴田さん「はい、なんでしょう?」

ぼく「AIにできることが増えて、人間がやらなくてよくなることが増えるってことは、
人間にしかできないことに価値が出てくるわけじゃないですか」

柴田さん「そうですね」

ぼく「そういう時代になるにあたって、プログラミング教育をやる意味ってなんなんですかね?」

柴田さん「えっ?」

・・・・・と、今回はここまで!

ご静聴ありがとうございます!続きは次回!乞うご期待!

西畠勇氣