一人一人のペースや興味に合わせた指導スタイルで プログラミングを深く理解し自由に表現できるように
今、急速に増えてきているプログラミングスクール。
そんな中、まだ子どもにプログラミングを教える場所がほとんどなかった2011年に誕生し、独自の指導スタイルで子どもたちにプログラミングの楽しさを伝え続けている教室「TENTO(テント)」を取材。
TENTOのプログラミング教育の考え方や、通ってくる子どもたちの様子から、実はとっても奥が深い、プログラミング教室の魅力が見えてきました!
一人ひとりが自分のペースで学べる教室
学校が終わる夕方、TENTOの教室がオープンすると、子どもたちが集まり始めます。生徒の年齢は小学生から中学生までバラバラ。教室では複数の講師が待っていますが、授業開始の合図や作業の指示はなく、子どもたちは挨拶を交わすとそれぞれの席でパソコンを立ち上げ、慣れた様子で作業を始めていました。
作業中のパソコンのモニターをのぞいてみると、取り組んでいるプログラムは一人一人異なります。モニターを見ながら熱心に講師と話をしている子、お菓子を片手にキーボードを叩く子、おしゃべりを楽しむ子と、教室での過ごし方もさまざま。講師も生徒に溶け込んで、教室全体にどこかリラックスした空気が流れています。
さっそく何やら作業を始めた女の子に声をかけてみると、簡単なゲームのプログラムを進めているところでした。通い始めてまだ半年ほどだと言いますが、モニター画面にプログラミングの説明書と作業用のウインドウを並べて黙々とテキストを打ち込んでいく姿は、すでに若きプログラマーのよう。
かと思うと、元気に入室して席につくなりお菓子をぽりぽり。最近のできごとを講師に話しながらのんびりPCを立ち上げている男の子も。マイペースに見える彼は、実は大きなプログラミングの大会で入賞する実力者でした。見回すと、生徒の個性もいろいろ。そして、誰もが自分のペースでPCに向かっています。
ハードルの低いビジュアル言語で楽しみながら構造を体得させる
取り組む課題を自由に選択できるというTENTO。とはいえ、小学生が初めてプログラミングにふれるときには、基本的に「スクラッチ」や「ビスケット」などの児童向けのビジュアル言語からスタートさせるそう。ビジュアル言語とは、例えば「何歩あるく」「向きを変える」などの簡単な指示が書かれたブロックを組み合わせて画面のキャラクターを動かすことができるような視覚的、直感的なプログラミングツールです。
さらに、このビジュアル言語でのプログラミングを、たっぷりと時間をかけて経験させるのもTENTOの特徴。その理由について、代表の竹林先生はこう話します。
「プログラミングの面白さは、自分が組み合わせた指示、書き込んだ操作が必ず効果を生むところ。『進む』と指示すれば進み、『ジャンプ』と指示すればジャンプします。そして、指示を増やし、組み合わせを変えていくことで、思い通りの動きをさせたり、新しい動きを思いついたり、バリエーションが広がっていきます。
実は、ビジュアル言語でもテキスト言語でも、細かい指示の組み合わせという基本的なプログラミングの構造は変わりません。だから、キーボードが打てなくてもプログラムが作れるビジュアル言語は、学び始めにぴったりなんです。タイピングを覚えることは子どもにとって大きなハードル。すると、そこで嫌になってしまう子も出てくる。ビジュアル言語ならそうした操作のストレスを感じずに、プログラミングの構造や面白さを体感的に習得していくことができます。」