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2019.3.15
2019.3.15

「TENTO」取材第二弾!プログラミング教室は世界の入り口

子どものミライを変えるかも!?技術や知識とともに身につく「本当のチカラ」とは……

「プログラミング教室」と聞くと、将来の仕事に役立つスキルを身につける場所というイメージをもつ人が多いのではないでしょうか。でも、子どもを野球チームやピアノ教室に入れるとき、将来それを職業に……と考える親は、それほど多くないと思います。プログラミング教室も、実はこうした習い事のひとつ。そして、そこで学ぶのはとても現代的な知識や経験で、これからの社会をより自由に生きるための力になるもの。学校でのプログラミング教育とは違う学びの形を実践する、プログラミング教室TENTOの魅力に迫るシリーズ第2回をお届けします。

学ぶことを自分でみつける教室

TENTOは、小学生から中学生まで、異年齢の子どもたちが同じ空間でプログラミングを学ぶプログラミング教室です。取り組むプログラミングは自由で、一人一人が興味のあるプログラミング言語でゲームを作ったり、WEBページを作ったりしています。学ぶことが決まっていない? そう、それがTENTOの特徴なのです。

学年もプログラミングのスキルも異なる子どもたちが同じクラスに集まります。

もちろん、初めてプログラミングにふれる子どもには、感覚的に扱いやすい低学年向けのソフトからスタートさせるなど、きっかけは講師が提案します。でも、基本的な操作のルールをある程度覚えれば、あとは自分で考え、思いついたことをどんどん試すようになります。講師が「次はこれをするよ」と決めることはなく、「こうしてみたら?」と提案することもほとんどないのだそうです。

TENTOには、必ずこの教材をやらなければならないというルールはありません。興味をもったこと、出会った情報を手掛かりに、子どもが自分で教材を探します。今はインターネット上にたくさんのテキストがあるのです。ゲームの作り方を知りたいと思ったら、そのチュートリアル(学習用の課題)が公開されていて、それに沿って見よう見まねでプログラミングすれば、ゲームができます。

だから、TENTOの子どもたちは、何をしていいかわからないときでも、何をしようか自分で考えます。そして、「これ、してもいい?」とたずねることもなく、取り組みます。プログラミングに関して「やってみたい」と思ったことで、してはいけないと言われることなどないと、みんなわかっているんですね。

必要なときにヒントやアドバイスをくれる講師のもとで、子どもは自由に興味を広げ、新しいことに挑戦していきます。

スキルアップと同居するプログラミングの「創造性」に注目!

課題や教材を決めないというTENTOの学習方式について、代表の竹林先生に聞いてみました。

「TENTOが大切にしているのは、『子どものクリエイティビティ(ひらめきやアイディア、好奇心、向上心など)にふたをしない』ということです。一般的に、プログラミングは『スキル』ととらえられがちです。でも、実際はとてもクリエイティブなことでもある。スキルを使って『何をしたいのか』が大事なのであって、それは人に教えてもらうことではありません」

確かに、ゲームの中でキャラクターを走らせたり、ジャンプさせたり、いろいろな仕掛けを作るためのプログラムが同じでも、組み合わせ方や背景や音などの演出が変わればまったく違ったゲームになります。また、複雑な計算ができるプログラムが組めても、それで何を計算して、どう役立てるのか、活用方法はさまざまですね。

画面はどちらも低学年向けビジュアル言語「Scratch」で作成したゲーム。シューティングやリズム遊びなど、同じプログラミング言語を使ってもまったく異なるゲームができます。

さらに、竹林先生からは、インターネットの理解についてのこんなお話も……。

「どんなことができるか、もっと知りたいと思ったり、うまくできない理由が知りたかったり、プログラミングを進めていけばいろいろな情報がほしくなります。今は、インターネットで検索すれば、そうしたさまざまな情報が手に入ります。

探せば見つかるということを知ると、子どもは講師に聞くよりも、まず自分で調べてみるようになります。そうして、インターネットを活用し、たくさんの情報から必要なものを選ぶ力も身につけていく。プログラミングを通して、前に進むために自分で考えたり調べたりすることが自然に習慣になっていくんですよ」

TENTO代表の竹林先生。

インターネットの向こうには、教材には収まりきらない膨大な情報があります。プログラミングが、その広い世界の入り口になっているんですね。

たかが習いごと? されど習いごと! スクールだから得られる刺激がある

子ども主体の自由な学習方法は、同じクラスに通う子ども同士の刺激にもなっています。年齢もスキルもバラバラ、取り組むプログラミングも一人一人異なる教室内では、「あんなプログラミングもあるんだ」「このプログラミングを使うと、あんなこともできるんだ」などの気づきがあります。

プログラミング言語といわれるプログラム方法は、驚くほど多種多様です。それを身近に見ることで、「面白そうだな」「次はあれをやってみたいな」というように興味も知識も広がっていく。これは、一人の部屋、1台のパソコンではできない体験でしょう。

学習態度もそれぞれで、ペースや結果を合わせていく必要がないからか、根気強く黙々とプログラムを構築している子や、コミュニケーションを楽しみながらのんびりキーボードを叩いている子などさまざま。みんなが個性的でのびのびとプログラミングに取り組んでいるように見えます。

仲間のやっていることにも興味が……。講師との雑談も楽しそう。

竹林先生が「みんなが好きにしているから、誰かが浮くということがないんですよ」と教えてくれました。人目や協調を意識しなくてよい環境は、自分らしい学び方を見つけられる場でもあるようです。

発表する場で自分の考えがクリアになる

一人一人が好きなプログラミングに挑戦しているTENTO。年に一度は、みんなの前で自作のプログラムを発表する場があるそうです。紹介されるプログラムは個性豊か。思いついた経緯や、工夫したこと、苦労したこと、注目してほしいことなど、自分の言葉で伝えます。

発表の場について竹林先生はこう話します。
「人に伝えるためには、自分の考えや経験を言葉で整理することが必要です。すると、感覚的に理解していたことや偶然の発見も、論理的に把握できるようになるんです。それまでの試行錯誤が言葉で整理されることで次の課題が見つかり、知識の土台が強固になる。そしてみんなでそれを共有できます」

発表の様子。大型のモニターを使って自作のプログラムを紹介します。

自分で考えて、自分で試して、自分で振り返る。これって、すべての学習に通じること! 子どもには、とても貴重な体験になると思います。

子どものタイプにもよるのでしょうが、探究心や粘り強さは与えられた課題では生まれにくいものなのかもしれません。自分からやってみようという気持ちをしぼませることなく、子どもが必要とするときにだけサポートしてあげたり、答えを与えるのではなく調べ方を教えたりヒントを与えたりする。そんな関わり方が印象的でした。

プログラミング教室の新しい魅力を感じるのと同時に、家庭でもプログラミングに挑戦する子どもの興味や意欲に目を向けて、それを尊重することが大切なのだと感じる取材になりました。

こどものミライ