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2019.3.22
2019.3.22

TENTO取材第三弾!とことん自由なプログラミングスクールでインタビュー

生徒だった僕が講師になったワケ プログラムを通して学んだこと、身についた力

「プログラミングスクールに通っているのはどんな子なの?」「どんな体験ができるの?」そんな素朴な疑問をおもちのかたは、ぜひご一読を。小学生から通い始め、今は講師の立場で子どもたちにプログラミングを教えているという高校生に、プログラミングの魅力や子どもたちに伝えたいこと、将来のビジョンまで、じっくり聞いてきました。

「動く!」「つながる!」プログラミングの面白さに夢中に

TENTO講師の中込 椋さん。東京都内の高校の情報科に通う学生です。

――TENTOに通うことになったきっかけを教えていただけますか?

(中込さん)「初めは親に誘われたんです。父親がWEBデザインの仕事をしていたので、小さい頃からプログラミングは身近なものでした。それで、わたしもTENTOに来る前からパソコンで簡単なプログラムを組むことはしていたので『プログラミングを学べるスクールがあるけど、行ってみる?』と。

はじめは何もわからずに来ましたが、TENTOのサーバを見ていたらゲームのファイルを発見したんです。「TENTOくん」が飛んでコインを取るようなゲームでした。それで、そのテキストデータをコピぺしてみたら、目の前のモニタでちゃんとゲームが動いたんです。

それまでは静止した画面しか作ったことがなかったので、驚きでした。自分でプログラムを組んだとは言えませんが、その時はそれで『できたー!』と喜んでいましたね(笑)。

それからTENTOに通い始め、すぐに『マインクラフト』というゲームプログラミングソフトが楽しくなりました。自分で作ったゲームの世界にインターネット上で人を呼んで、一緒にプレイすることができるんです。すると、だんだんゲームを作るよりも、ゲームにかかわるネットワークづくりに夢中になって……」

幅広い世代に人気の「マインクラフト」。ブロックで構成された世界で、迷路や建物を作るなどもできる。算数や社会などの授業で利用されることも。

――どんどんやりたいことが見つかるんですね。「難しい」「やめたい」と思うようなことはありませんでしたか?

「ネット上でコミュニケーションがとれるのが楽しくて、自分でインターネット上の情報を調べて、いろいろなことができるようになっていきました。自分で調べて、好きなようにやってみてね、というのがTENTOのやり方です。でも、どうしてもうまくいかないときには先生がヒントをくれる。そうやって助けてくれる先生がいるのが、スクールのよさなのだと思います」

●スクールに通い始めて新しいプログラミングにふれ、世界が広がった中込さん。「こんなことができるんだ」という発見や「試したら面白かった」という感覚は、経験の有無にかかわらない素朴な感動。そして、わからないときは頼れる講師がいる環境がプログラミングへの興味を深めていったようです。

生徒から講師へ……今子どもたちのために考えていること

教室での中込さん。教室には年齢もスキルも異なる生徒が集まります。

――生徒としてTENTOをどんな教室だと感じていましたか?

「とにかく自分のやりたいことができるところがよかったです。わたしはマインクラフトをやり続けていましたが、ときどき他のプログラミングに興味がわいて、そちらを試すこともありました。『やってみたい』と思ったときに、いつでもそれができるから飽きることがありません。それに、みんながおしゃべりしたり、したいことをして、教室もわりとにぎやかです。静かなところでじっと作業するのは苦手な方だから、そんな雰囲気も自分には合っていました」

――教室の楽しげな雰囲気は取材中にも感じることができました。でも、TENTOに通えるのは原則中学3年生まで……。高校に入学するとすぐにTENTOでのアルバイトを志願したそうですね。

「アルバイトができる学校だったので、してみたい、やりやすいところはどこだろうと考えて『そうだ!TENTOがいいぞ』と。もともと中学生のころも、他の子にアドバイスしたりして講師のようなことをしていたので、ハードルが低くて(笑)。代表の竹林さんに相談したら『いいよ』と言ってもらえました」

――講師としての理想や心がけていることはありますか?

「もちろん、もっといろいろなプログラミングを勉強して、しっかり教えられるようにならなくちゃいけないなという気持ちはあります。でも、一番心がけているのは生徒として感じていた自由で楽しい空気を継承していくこと。そのために、生徒に溶け込む、生徒のような存在でいたいと思っています。

スクールごとの良さがあると思いますが、TENTOに来る、TENTOが好きな子には、やっぱり楽しい雰囲気を味わってほしい。その中で、ちゃんとプログラムが動いて『プログラミングが楽しい』と思ってもらえるのが一番ですね」

●生徒に溶け込む存在でいたいという言葉は、TENTOで学ぶことでプログラミングの楽しさを感じてきた中込さんならでは。スクールの場合、それぞれの教室の雰囲気があります。自分に合った場所を見つけることも、大切なことかもしれません。

子どもに任せてじっと待つ

――子どもに教えるのに手を焼くことはありませんか?

「本当に自由な教室なので、中にはずっとさきいかを食べていて、全然プログラミングに取りかからない子なんかもいます(笑)。それでも真面目にやっているときもあるし、『そろそろやったら?』というくらいで基本的には本人がやり始めるまで待ちますね。『やりなさい』とは言いません。

パソコンに入っているゲームで遊んでばかりの子もいますが、そうやってパソコンをさわりながら、どこかで何か発見できればいいかなとも思うんです。短期間で面白くならなくてもいいので自分で面白さを見つけてほしい」

TENTOでの教え方についてしっかりした考えをもっていて、とても高校生とは思えません!

――「子どもに任せる」とか「待つ」というのは、意外と難しいことのような気がするのですが……

「『自分がやりたいことを、自分でする』というのがTENTOが大切にしている方針だし、自分もそうやって自由にさせてもらってきました。だから待てるのかもしれないですね。

それに、こちらが目標を決めてしまうと、本当にやりたいことは見えてこないと思うんです。プログラミングって、種類も多くて、できることに限りがない。あれこれ試している中でやりたいことが分かれていくので、それをサポートできたらいいと思っています」

●取材中に、たびたび「プログラミングが楽しいと思ってほしい」と語っていた中込さん。楽しいからもっと知りたい、学びたいという気持ちになる。わかっていても待つのは難しいこともありますが、子どもが自分で何がしたいか考えることの重要性を改めて考えさせられました。

大学ではプログラミング以外のことを学びたい

――現在は大学進学を控える高校2年生ですね。将来のイメージはありますか?

「プログラマーになりたいと考えていた時期もありますが、今はプログラミングを教えたり広めたりするプログラミング教育にかかわっていきたいと思っています。TENTOで教えたり、プログラミングの大会などイベントの企画を手伝ったりした経験もあって……。プログラマーは個人的な作業なので、プログラミングを通して人と関わっていく方が楽しそうです」

――そうすると、大学でもプログラミングの勉強を?

「プログラミングの技術に関しては、ずっと自分で学んできました。だから、これ以上、学校で学ばなくてもいいかなと感じています。例えば、わたしが通っている高校はプログラミングだけでなくデザインソフトや画像処理なども学べる環境は整っています。ただ、プログラミングに関する授業は基礎的なもので、正直物足りない。それで、『課題研究』という学習内容を自由に決められる時間に、文化祭で食券を売るシステムを自分で作って運用しました。

やりたいことがあれば、自分でできる。それに大学はいつでも行けるから、高校を卒業してすぐ大学に行かなければいけないとも思っていないんです。でも、行くとしたら文系かも……。今、興味があるのは北欧言語です。もともとムーミンとかフィンランドの文化が好きなので(笑)」

生徒に溶け込む笑顔。取材は終始おだやかな雰囲気でした。

●取材を終えて……

中込さんの何気ない一言に「何があっても自分で解決できる」という気持ちのゆとりを感じる場面がたくさんありました。中込さんはTENTOで、プログラミングの技術だけでなく、「自分で学ぶ力」を身につけたのだと感じます。自分で調べて、試して、技術を身につけてきた経験と自信は、この先どんな職業についても役立つはず。今回の取材には、その力をつけるためのヒントが詰まっていました。

こどものミライ