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2025.9.5
2025.9.5

ライフストーリーワーク国際資格取得支援 ― ミダス財団による「ミダスフェロー制度」の取り組み

はじめに

公益財団法人ミダス財団は2025年6月26日、一般社団法人ALLOUNDセラピューティック・ライフストーリーワークジャパンと共に、ライフストーリーワーク国際資格取得セミナーへの費用助成制度「ミダスフェロー制度」を創設したことを発表しました。本稿では、この取り組みの内容と背景について、公開されている情報を基に紹介いたします。

ライフストーリーワークについて

基本的な概要

ライフストーリーワークは、リチャード・ローズ博士によって開発された、社会的養護の子どもたちのための支援プログラムです。子どもたちが自らの出自や社会的養育に至った経緯を理解することを支援する専門的な手法として知られています。

一般社団法人ALLOUNDセラピューティック・ライフストーリーワークジャパンの德永祥子代表によると、このプログラムは「日常生活から専門的なトラウマセラピーまで対応できる国際資格」として、英国、オーストラリア、アメリカ、ポルトガル、シンガポールなどで既に導入されているとのことです。

報告されている効果

德永代表は、ライフストーリーワークの効果として以下の5点を挙げています。

  1. 自己調整力・対応力の獲得(自分のストーリーと向き合い続ける力)
  2. トラウマ症状の長期にわたる軽減
  3. 高リスク行動の減少
  4. 現在の養育者とのアタッチメント強化
  5. 良好な友人関係の構築

日本における課題

支援者が直面している困難

德永代表は、日本の現状について次のように述べています。「これまでライフストーリーワークを行う必要性は感じていたけれど、どこから着手して良いか分からずに躊躇していた方や取り組んでみたものの子どもを傷つけることがないか不安を感じていた方」が存在すると指摘しています。

ミダス財団の玉川事業統括も、「各機関・団体が単独で人材を育成するには人的資源が不足している現状が明らかになってまいりました」と、支援現場の実情を説明しています。

研修機会の限定性

プレスリリースによると、英国などでは福祉専門職の必須研修として定着している一方、日本国内では実践者の数が限られており、体系的な研修機会に沿った学びの場が不足しているという状況があるとのことです。

ミダスフェロー制度の概要

制度の内容

ミダス財団が発表した内容によると、ミダスフェロー制度は以下の支援を提供します。

  • 参加費用の一部負担
  • 参加者の所属する地域間のつながりを育むネットワーク形成の促進
  • 参加者による実践コミュニティからの発信・共有活動、勉強会実施

研修スケジュール

2025年の研修は以下の日程で実施されました。

  • 6月27日~29日(オンライン開催)
  • 7月29日~30日(対面開催/大阪)
  • 8月1日~3日(対面開催/東京)

関係者のコメント

德永祥子代表のコメント

德永代表は、ミダス財団への感謝と共に、以下のように述べています。

「今後は、セラピューティックライフストーリーワークジャパンとして、より多くの実践者や広く市民の方々にもセラピューティック・ライフストーリーワークについて知っていただけるよう普及啓発活動にも注力していきます。ミダス財団には、この事業の意味を深く理解していただき、ミダスフェロー制度を通じてご支援いただけることに心から感謝しております。共に、子どもが自信をもって未来に向かって生きていける社会を目指していただけると確信しております」

玉川事業統括のコメント

ミダス財団の玉川事業統括は、以下のように述べています。

「ミダス財団では、2024年度から特別養子縁組事業を開始しました。事業を推進する中で、養子・養親・実親に寄り添い支援を行う実践者には高度な専門知識とスキルが求められる一方で、各機関・団体が単独で人材を育成するには人的資源が不足している現状が明らかになってまいりました」

「このたび、国内初の取り組みとして、德永先生を始め一般社団法人ALLOUNDの皆様と共催でミダスフェロー制度を創設できたことを大変光栄に思っております」

特別養子縁組支援との関連

ミダス財団は2024年度から特別養子縁組事業を開始しており、玉川事業統括によると「特別養子縁組成立後の支援については各機関・団体の裁量に委ねられている部分も多く、子どもたちの健やかな成長に不可欠な『生い立ちの理解』をどう支えていくかに課題を感じておられる支援者も少なくありません」という状況があるとのことです。

2025年7月には、特別養子縁組の理解を深める絵本『まってたんだよ ヒカル』も出版されており、同財団は多角的なアプローチで支援体制の構築に取り組んでいることがうかがえます。

今後の展望について

玉川事業統括は「セラピューティック・ライフストーリーワークの国際資格である『アドバンスド・サーティフィケートコース』にご参加いただいた皆様が、各所属機関においてその学びを実践し、より多くの子どもたちが自らのライフストーリーと向き合えるよう支援が届けられることを期待しております」と述べています。

また「ミダスフェロー内での継続的な対話を通じて、セラピューティック・ライフストーリーワークが日本の文化や現場に即したかたちで根づいていくことを願ってやみません」とも語っています。

ミダス財団について

公益財団法人ミダス財団は、「2050年までに1億人にポジティブな人生選択の機会を提供する」というビジョンのもと、社会貢献事業を行っています。株式会社ミダスキャピタルの年間収益の一部及び代表理事である吉村英毅氏からの年間1億円の寄付を財源として、国内外での子ども支援事業を展開しています。

2025年7月に発表されたインパクトレポートでは、東南アジア・南アジアでの学校建設事業、国内での子ども支援事業、特別養子縁組事業など、多岐にわたる活動が報告されています。

おわりに

ライフストーリーワークという専門的な支援手法の日本での普及に向けて、ミダス財団と一般社団法人ALLOUNDセラピューティック・ライフストーリーワークジャパンが協力して取り組むミダスフェロー制度。この制度により育成される専門家が、日本の子どもたちの支援にどのような貢献をしていくのか、今後の展開が注目されます。


関連情報

この記事は、公益財団法人ミダス財団のプレスリリース(2025年6月26日付)及び公開情報を基に作成しました。