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2019.4.19
2019.4.19

小中学生向けの本格的な検定試験「日商プログラミング検定ENTRY」が始まる

2019年1月から、日本商工会議所および各地商工会議所が主催する「日商プログラミング検定」が開始された。商工会議所検定といえば、日商簿記や珠算など、のべ7,700万人の受験実績を誇ることで知られており、「日商プログラミング検定」は、4段階のレベルに分かれ、入門級にあたる「ENTRY」は小中学生でも受験することができる。現在、子ども向けのプログラミング検定は少ないため、プログラミングスキルを測るひとつの指標になるのではないかと期待されている。

基本的なプログラミングスキルを問う4段階のレベルを用意

日商プログラミング検定は、もっとも入門的な「ENTRY」からプログラマーとしての基本的な知識を問う「EXPERT」まで、難易度に合わせて4段階のレベルが用意されている(表1参照)。「ENTRY」は小中学生でも受けられるよう問題文にルビがふられており、すでに小学校3年生の合格者も出ている。「ENTRY」の試験内容は、Scrtach 3.0をベースに、基本的な操作方法や、実際にScratchを用いてプログラムを組んだ際の正しいブロックの組み方などが出題される。そのほかにも、インターネットを使う際のマナーやネットリテラシーに関する問題も用意されている。

日商プログラミング検定の概要

試験方法は、インターネットを用いて実施するネット試験(CBT[Computer-Based Testing])。試験会場に用意されたパソコンを使い、「ENTRY」の場合、試験時間は30分、4択形式で問題に答える。試験が終わると、その場で自動的に採点が行われ合否を確認することができる。合格した場合、後日、カードタイプの合格証が送られてくる。

日商プログラミング検定の担当者によると、本検定は、小学校での必修化によりプログラミング教育が注目を集めていること、IT社会の進展により学生や社会人を問わずプログラミングスキルが求められていることなどを受け、2017年から準備が進められていたという。

「2019年の実施に至るまで、プログラミング教育やプログラミングに関する知識に長けた有識者を集めた研究会を設置し、試験内容や難易度等について幾度となく議論を重ねました。また、情報技術に関わる指導者に本検定の内容を知っていただくことを目的に開催した説明会で意見を聞くなど、なるべく多く声を反映できるよう準備してきました」とのこと。検定開始前に一部学校の協力を得て行った試行試験では、プログラミング教室でScratchを体験した小中学生の7割以上が合格したというデータもある。

教育ライターが日商プログラミング検定に挑戦!

今回、日商プログラミング検定試験に、筆者も一受験者として挑戦してみた。常日頃、プログラミング教育をテーマに様々な学校や教室を取材し、かつ多くのプログラミング教材を紹介してきた教育ライターとしては、ぜひ受かりたいところ……いや、受からなければいけない!

まず受ける前の準備として、最新のScratch 3.0のおさらいを始めた。

「Scratch 3.0」のメイン画面。3.0では新しい機能が追加されただけでなく、スペースの位置が変更になるなど、インターフェースも変わっている。

Scratchを勉強するには、どのようにすればいいのだろうか。幸い我が家には息子の愛読書であるScratchの解説書が3冊ほどあるので、それをもとに自分の記憶を整理した。しかし、解説書を読んでいるだけでは、記憶が定着しにくい。やはり、プログラミングは実際にやってみるのが一番ということで、解説書にあるサンプルのプログラムを作っていくことにした。全部のプログラムを作る時間はないので、本の最初に書かれている基本的なものは飛ばし、後半の間違えやすそうなものを重点的に勉強した。

初めて受ける方は、日商プログラミング検定の公式サイトに掲載されているサンプル問題を見ておくことをおすすめする。これを見れば、どんな問題が出るのか大体の傾向がつかめる。

公式サイトの「ABOUT」から、サンプル問題を参照することができる。

「日商プログラミング検定」の結果は

2019年1月、「日商プログラミング検定 ENTRY」の記念すべき最初の試験は、東京にある日本商工会議所の試験会場で行われた。平日夜からのスタートということもあり、この日の参加者は全員成人で、プログラミングなどを指導する教育関係者が多かった。

会場には机が並び、試験用のノートパソコンが置かれている。席に着き、試験開始直前まで、Scratchの解説書で復習にいそしんだ。

時間になると、試験担当者から、まず注意事項が読み上げられる。その後、試験プログラムにパスワードなどを入力してログインし、合格証の送付先として住所や氏名などの個人情報を入力する。入力が終わったら、試験開始のボタンをクリックすると、いよいよ試験がスタートだ。

ちなみに、紙の筆記テストと異なり、ネット試験では、試験用プログラムで時間を計測するため、一斉に開始するわけではない。個人情報の入力が終わった方から、順次試験を開始する。

ENTRYは制限時間30分で択一式の問題を解くため、自分の頭の中で組み立てて考えなければならず、実際にプログラムを組むより難しいかもしれない。何より、「トライ&エラー」ができないことがこれほど大変だということに、改めて気付かされた。

すべてを解答し終えたのは試験開始後27分ぐらい。時間内に終わった場合は終了してもよいのだが、自信がなかったため時間を最後まで使いきり見直しに努めた。そして、終了ボタンを押すと、すぐに自動採点され、次の画面で合格・不合格の判定と点数が表示される。

「合格していますように……」

と、祈りつつ、終了ボタンを押す。

すると、「点」「合格」の文字が!

結果は89点で、合格! スレスレかと思ったが、70点以上で合格となるため、予想以上に点はとれたようだ。

とりあえず、教育ライターとしての面目は保てた……。

という安堵感に浸りつつ、会場を後にした。合格証は後日郵送されてくるため、試験終了後は特にやることはなく、試験は以上で終了となる。

ちなみに、この日の受験者は全員合格だった。隣で受けていた方に話を聞いたところ、オフィスソフト等の指導をしている講師の方で、今回の試験に当たって、Scratchを勉強したとのこと。

「ちゃんとプログラミングをしていないとわからない問題でしたね」

という感想のとおり、確かに解説書を少し読んだだけでは答えにくい問題が多い。逆に言うと、小学生でもScratchでのプログラミングをやり込んでいる子どもであれば、低学年からでも受験は可能だと感じた。

プログラミング検定に期待するプログラミング教育の展望

プログラミングはまだ新しい分野なだけに未知数なところがあり、算数のように明確に点数がつくわけではない。プログラミング教室に子どもを通わせている保護者からは、「子どもが何をやっているのかわからない」「成果が見えない」といった意見が一定数ある。ら

こうした声があるなか、この日商プログラミング検定は、親や指導者にとってもひとつの指標となるだけでなく、プログラミングを学んでいる子ども達にとっても大きな目標となりそうだ。

ネット試験方式で行う商工会議所の検定試験は、地元の商工会議所からネット試験施行機関としての認定を受ければ、民間のプログラミング教室や、学校でも実施できる。そのため、漢字検定のように学校単位で取り組んでみたり、プログラミング教室の目標として「日商プログラミング検定合格」を掲げたりすることも、今後増えていくことが予想される。また、家庭でプログラミングを自主的に取り組んでいる場合は、親子で挑戦してみるのもよいだろう。

後日、自宅に届いた「日商プログラミング検定 ENTRY」の合格証。

ちなみに、上位レベルのプログラミング検定については、「合格を採用の参考にする」ことを検討している企業もあるという。中学入試などにおいても、近年では分野に特化したスキルなどを考慮する「習い事入試」を採用する学校も登場し、今後プログラミングスキルの重要性はますます高まっていきそうだ。

こうしたプログラミングのスキルをはかる検定が浸透していくことで、プログラミングが、「読み書きそろばん」に続く新しいスキルとして広がっていくことを期待したい。

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